第7章 君は陽だまり
何が起こっているのだろうか。
頭を整理しなければ気持ちが追いついてこない。
私の見解が正しければ…
宇髄さんと奥様達は関係を解消した。
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宇髄さんに好きな女性がいる。
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花飾りはその人に買ったもの。
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いま、その花飾りは私の頭についている。
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気に入ったか聞かれる。
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え?ちょっと待って。宇髄さんの好きな人って…私?
そこまでの流れを脳内を堂々巡りしている。
ちょうど今で五巡目。
彼の硬い胸に顔を埋めながら必死に回転させた頭は湯気が立ちそうなほど。
あまりにも突然のこと過ぎて受け止めきれてないのだ。
六巡目の状況整理をしようと思った時、上から降ってきた声と共にツンと突っつかれた額。
触れられたところは痛くも何ともないのに、やたらと熱く感じる。
「まーた、眉間に皺寄ってんぞ。」
「ひゃぁっ……!」
「何だよ、その悲鳴は。俺がまるで強姦してるみてぇだろ。あと顔真っ赤過ぎ。」
「だ、だって、…!か、顔近すぎて…!!」
こんなに美丈夫の顔が至近距離にあって、見つめられたら溶けるんじゃないかと思うほど顔が熱くなるのは仕方ないと思う。
真っ直ぐに宇髄さんを見ることもできなくて目を瞑ったまま彼の胸に顔を埋めることで何とか耐えている。
「そのくらい早く慣れろ。」
「む、無理ですぅーー!宇髄さん、めちゃくちゃ美丈夫じゃないですか…!この状況が恥ずかしすぎていま、死ぬほど土に還りたいです。」
「だから、還んなっつってんの。いや〜、それにしてもよく似合ってんな。流石の俺の感性は天才的だな。」
そう言って触れられるそこは宇髄さんが私のために買ってくれた花飾り。
そこまで安価なものではないし、誕生日でもないのに頂いてもいいのだろうか。
「あの、これ、本当に頂いても…?」
「俺がお前に贈りたかったの。金なんか渡してきたら鍛錬5倍にしてやるからな。」
「ふぇえっ?!わ、分かりました!ありがとう、ございます…!毎日つけます!」
髪飾り自体を付けたことがなかったので、気恥ずかしいが、宇髄さんは似合ってるって言ってくれてるし、何より選んでくれたことが嬉しくてやっと顔を綻ばせる。
さっきまでの絶望が嘘のような幸福感で私は天に昇りそうだった。