第31章 忍び寄る終焉※
「ほの花ーーッ!!炭治郎ーーッ!!炎柱ノ家ニ向カッタ模様ーーーッ!」
張り紙を見てため息を吐いていると音花が空から舞い降りてきた。
煉獄さんの家?!ご実家ということ?
煉獄さんのお家は…確か御父様と弟さんがいらっしゃるはず。
其処に向かった意図は?
「…分かった。急ごう。」
肩に止まった音花をそのままに私は再び走り出す。
炭治郎が何の理由もなく、其処に行くわけがない。必ず理由があるはずだ。
あんな怪我をした状態で其処に行く理由。
きっと大切なことなんだ。
煉獄さんに亡くなる間際に何かを託されたのだろうか。だとしても…!それなら一言声をかけてくれたら付き添ったのに!
あんな体で行ったら、しのぶさんも怒るのは無理もない。
「此処ヲ真ッ直グーーー!!突キ当タリヲ左ーーッ!!」
音花の指示に従い、走ること十分程度
よく考えたら私も太腿に傷があったんだった…と思い出したのは走り出して直ぐのこと。普通に生活する分には痛みは皆無だけど、流石に全力疾走すれば痛みは再発する。
引き攣るような痛みは中から来るものではないし、傷口が治りかけで薄い皮膚を引っ張りあっているような感覚だ。
それでも私よりも重傷の人が自分の身を顧みずに何かを成し遂げようとしているのだ。
勝手に出て行ったことには怒りがあるが、言ってくれさえすれば協力した。
頼んでくれなかったことに悲しくなりながらも息が上がり始めた頃、見覚えのある後ろ姿を確認することができたので、私は大声で彼を呼び止める。
「こらぁーーー!!炭治郎ーーーーーっ!!」
しかし、彼が振り返ったことでその先にいた小さな少年が目に入った。
(…ひょっとして…煉獄さんの…弟さん…?)
私の顔を見るや否や"まずい…!"と言う明らかに狼狽えた表情でこちらを見ている彼にひとまず怒りは抑えることにした。
「…ほの花ッ…!いや、あの…ご、ごめん!!」
「ほの花…?あ、…ほの花さん!?」
炭治郎が私の名前を呼んで遅れること数秒後、突然後ろにいた少年が私を見て驚いたような顔をした。
その反応の意味がわからず、私は炭治郎と顔を見合わせて首を傾げた。