第31章 忍び寄る終焉※
「アオイちゃんは役に立ってるよ。」
「慰めはよしてよ〜!大丈夫!分かってるから!」
「慰めなんかじゃないよ。」
アオイちゃんの目には少しだけ光るものがあって、思わず手を繋いだ。
そう、慰めなんかじゃない。
「人には役目っていうのがあると思うんだ。本当はね、私は宇髄さんの任務について行って彼と一緒に戦いたいんだけどね…」
頑なに任務に同行することを拒否する彼と計ったかのように一緒にならない任務。
彼に守られているのは明白だ。
「きっとそれは宇髄さんが望んでないから叶わないと思うんだ。カナヲちゃんはしのぶさんの任務に同行できていいなぁなんて思うこともあるよ。」
「ほの花ちゃん…」
「でも、私には目の前に与えられたことを一生懸命やることしかできないから…そうしてきただけ。アオイちゃんだってそうしてるじゃない。」
宇髄さんに同行出来なかったとしても頼まれた仕事だけは絶対にちゃんとやるようにしてきた。それが回り回って宇髄さんの継子としての責務だと思ったから。
その結果、有難いことにきっと今の自分があるんだと思う。
剣士として、陰陽師として…これ以上の強さを見込めない私は宇髄さんが導いてくれたこの道を無駄にはしたくない。
彼は私を死なせたくない一心だったと思うけど、結果としては上弦の鬼と渡り合えるほどの強さは見込めないのだから役に立つ方法はこれしかなかった。
「…そう、かな?」
「うん。アオイちゃんは此処に入院してる人たちの身の回りのことを全部やってるじゃない?しのぶさんとても頼りにしてるよ。それはアオイちゃんにしか出来ないことでしょ?」
「……そっ、か。うん…。ありがとう。」
アオイちゃんの口角が少しだけ上がったのでホッとして再び前を向いて歩き出す。
「でもね、分かるよ。周りと比べちゃうと自分は…ってなるよね…。私もよく落ち込んでる。」
「ええ?!ほの花ちゃんも?!」
「うん。本当しょっちゅうよ。大体宇髄さんに気付かれて叱られちゃうけど…。」
「あはは!音柱様はほの花ちゃんのことよく分かってるもんね。」
そう。宇髄さんは本当に私のことよく分かってる。ただそのせいで彼を落ち込ませたのも私だ。
私のついた嘘が彼を気に病ませてしまった。