第31章 忍び寄る終焉※
「あー、でも炭治郎に言えてスッキリしたよ〜!」
「そう?俺はほの花が心配で仕方ないよ。本当に無茶しないでよ〜」
「あはは…!そうだね、本当師匠も不死川さんもしのぶさんも心配させちゃったし、気をつけるよ」
誰に言っても同じことを言われる。
やはり今回はいくらなんでもやりすぎた。いくら背に腹はかえられぬとは言え、自分の体を刺したら誰だって心配する。
炭治郎ですら心配そうにこちらを見ているのだから宇髄さんはそれはもう心配でたまらなかっただろう。
「でも…せっかくほの花が危ない思いをして採ったんだからその血が有効活用されるといいね。」
「大丈夫。珠世さんなら上手くやってくれると思う。本当なら一緒に薬の開発をしたいくらいだけど…今は…それは許されないから」
珠世さんは私よりもすごい薬の知識がある。
私なんか足元にも及ばないと思うけど、近くで学びたいと思ってしまうことも多々ある。
それがどれほど絵空事なのか分かっているつもりだ。
でも、剣士としての成長は鍛錬があるが、薬師としての成長は今の私には限界がある。それこそ無闇矢鱈とは使えない治癒能力以外私には今の薬の調合が限界だ。
でも、珠世さんはそれ以上のことを知っている。私の事実上の師は母だが、それですらちゃんと薬師として修行したわけではない。
知らず知らずのうちに鍛えられたと言ってもいいし、あとは正直なところ母が残した薬事書の知識だけが私の武器。
何が足りていて何が足りていないのか分からないながらに現場で働く内に得た物もたくさんある。
鬼殺隊の以上、鬼の珠世さんに手を貸しているなんて言語道断だろうし、薬の開発を共にしたいだなんてもっての外だ。
「ほの花の代わりにきっと完成させてくれるよ。今できることをしよう?」
炭治郎がそう言って笑ってくれたので私も笑い返す。間違いなく今はそうすることが良いだろう。
言い訳をするのにこんなに必死にならなければいけない状況でこれ以上、そこは望めない。
みんなを騙しているようで苦しくてもそこは我慢しなければいけない。そうでなければ私は鬼殺隊の裏切り者の烙印を押されてしまうのだから。