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陽だまりの先へ【鬼滅の刃/音夢💎】R指定有

第31章 忍び寄る終焉※






派手な羽織を翻しながら任務に向かう煉獄さんを見送り、客間に戻ると彼が持ってきてくれた手土産の甘味が卓に置いてあった。

それを開けると私の好きな甘味ばかりが並んでいて、きっと宇髄さんが彼に以前伝えてくれていたのだろうと分かり、顔が緩んだ。


それを持ち、居間に向かうとそこにいた三人の奥様達に渡した。


「煉獄さんが持ってきて下さいました。お好きなものを召し上がってください。残った物を後で頂けますか?」


「えぇ?!でも…ほの花さんがもらったんですよねぇ?私たちから選んで良いんですか?」


「良いわけないでしょ?!馬鹿!ほの花さん、先にどうぞ?」


「そうですよ。良ければ一緒に食べませんか?」


雛鶴さんが私の分のお茶の準備をしてくれようとしていたのでやんわりとそれを制した。


「いえ、今から蝶屋敷に怪我の状態を診てもらいに行くので先に食べてください。先ほど見たら全部私の好きなものばかりで!なのでどれが残っていても幸せです!」


せっかく買ってきてくれたのだ。
早く食べた方が美味しいに決まっている。
私は雛鶴さんにその包みを渡すと、尚も困ったような顔をしている彼女たちを見て「正宗たちにもあげてくださいね」と声をかけて部屋を出た。


雛鶴さん達は私のことを恨んだりなんてしていないと思う。それほどまでに優しい人だし、彼女たちの中では"過ぎたこと"だと言う認識が強いのは見てとれる。


許せないのは私だけ。
誰にも言うことができないこの苦しみは時間が解決してくれるものなのかもしれない。

だけど、最近よく考えてしまうのは…私と出会ったがために、宇髄さんが万が一にも命を落とすことになってしまったら私は彼女たちにどう詫びたらいいのだろうか。


夫を奪われた上に、亡くなってしまったなんて…考えただけで自分の存在に責任を感じてしまう。

彼のことは大好きだし、人生において此処まで愛おしい人に出会えたことが奇跡だと思っているのは本当だ。

これ以上の人には出会える気はしないし、宇髄さんには冗談っぽく言ったけど、私は彼がいなくなったら他の人と結婚するつもりはない。
約束したのだ。
彼が私の最初で最後の人だと。

約束を違えるつもりは毛頭ない。

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