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陽だまりの先へ【鬼滅の刃/音夢💎】R指定有

第31章 忍び寄る終焉※





「すみません…!任務前に悠長に準備してしまって…!取り急ぎ、こちらだけお持ちください!ご家族の分は準備しておきます故。」


全ての薬を煉獄さんの前に並べると満足そうにそれを眺めて懐に仕舞ってくれる。
曲がったことが嫌いそうな真っ直ぐなその視線は道を間違えることがないように感じる。

嘘偽りのないその視線が今は痛い。


「うむ!ほの花ありがとう。これで任務も心配ないな!宇髄に宜しく言っておいてくれ。」


「はい!お伝えします!」


煉獄さんはそう言って立ち上がると手を差し出してきた。突然のことで一瞬怯んでしまったが、薬で手が汚れていないか確認するとそれを差し出す。
温かい手が私のそれと重なるとギュッと握られた。


「君は素晴らしい薬師で鬼殺隊士だ。宇髄も君のような人間が継子で誇らしいだろう。」


「い、いえ…!私はまだまだです…!でも、宇髄さんの継子として恥ずかしくないように頑張ります。」


燃えるように熱い手は煉獄さんの心の熱さを物語っているよう。彼は滾るような熱い心に実直で嘘偽りのない性格だ。
それが握手からも伝わってくる。


「宇髄は君が思っているよりずっと君のことを大切に思っている。俺も何れはそんな女子と添い遂げたいと思う。その時は…仲良くしてやってくれ。」


「え…!?そんな良い人がいらっしゃるんですね?!」


「いや!まだいないがな!!」


「あ、ああ…、そう、ですか…。でも、…はい!その際は宜しくお願いします。」


宇髄さんは周りの人にもそんな風に思われるほど私のことを愛してくれている。
包み隠さず私への愛を表現してくれるからこそ三人の元奥様達から寝取ったと後ろ指を差されたことは一度もない。
本当ならばそう言われても致し方ないと言うのに。


「自分の命よりも大切だと断言していた君が傷つくことを何より恐れるだろう。だから早く怪我を治して宇髄に寄り添ってやってくれ。それが君の婚約者としての責務だ。」


しかし、煉獄さんの言葉に私は固まってしまった。何故ならばそこには私の望んでいない言葉が紛れ込んでいたから。

私が今一番危惧していることだったから。

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