第31章 忍び寄る終焉※
宇髄さんが任務に行ってしまった翌日、しのぶさんのところに行かないとなぁ…とぼんやりしていると、部屋に須磨さんが入ってきた。
「ほの花さん。お客様が来てますよぉ〜?」
「え?お客様?」
「はい。炎柱様です。」
「え、炎柱様?!」
それはあの柱合会議以来…いや、まともに話したのは私が死ぬほど酔っ払って迷惑をかけた懇親会以来一度も会っていなかった煉獄杏寿郎さん。
まさか私を訪ねて此処に来たわけではあるまい。
宇髄さんに用事だったのを不在だから私に言伝を頼みたいだけだろう。
そう思っていたのに通してくれたと言う客間に向かうと「ほの花!しばらく!」とにこやかに声をかけられて雑談が始まったことに驚いてしまった。
「…あ、あの…煉獄さん?」
「ん?何だ?」
「宇髄さんなら不在ですよ?」
「ああ、先ほど須磨殿に聞いた!」
益々よく分からない…。
宇髄さんがいないのを知っていながら、上がったのは言伝なのではないのか?
それなのに一向に言伝を言ってくれない煉獄さんに首を傾げるしかない。
しかし、此処で聞かなければ一生本題に入らないのではないかと思ったので、思い切ってこちらから聞いてみることにした。
「あの…宇髄さんに言伝なら承りますけど…?」
「む?言伝?宇髄に?特にないが」
「……え?」
「俺は今日ほの花に会いに来たのだ。怪我をしたと不死川に聞いてな!見舞いに馳せ参じた。」
何ですと?!
会いに来てくれた?!あまりに驚いて目をひん剥いたままの私ににこやかに話を続ける煉獄さん。
「あと不躾で申し訳ないが、ほの花の傷薬も是非とも貰いたいと思ってな!宇髄からほの花は甘味が好きだと聞いていたので買ってきた!物々交換願いたい。」
「ぶ、物々交換…!そんなそんな…!次からは何も持ってこないでくださいね?薬くらいいくらでもお渡ししますので…!」
まさか本当に自分に会いに来てくれたなんて思いもしなかった。柱の方にお見舞いに来てもらえるなんて本当に宇髄さんの継子でなければあり得ないことだ。
しかも、薬なんて柱の鶴の一声があれば、秒でお渡しすると言うのに…宇髄さんに聞いた甘味好きと言うのを覚えていてくれて持ってきてくれたなんて有難いと言うほか形容の仕方がない。