第31章 忍び寄る終焉※
宇髄さんの心配性は今に始まった事ではないし、もちろんこうなることを予測しなかったわけではない…
けど…薄ら感じる。
宇髄さんはたぶんちょっとだけ疑ってる。
彼に疑われることがあまりないからこそ分かる。
確かに私の言い訳は完璧とは言い難いし、あの時珠世さんに多く血を取られたのは完全に誤算だった。
そもそもあの日会うことも誤算だった。
かと言っていつ来てくれだなんて指定もできない。彼女達は鬼なのだ。しかも、炭治郎の話だと鬼舞辻無惨と敵対している鬼ということになる。
そうなれば、近くに鬼がいたあそこに出会しただけでもかなりの危険を伴っていてはず。
それなのに私の願いを聞き入れて来てくれたのだ。もちろん、血が欲しかったと言うこともあるだろうけど…。
それを念頭に置けば、責め立てることもできないし、こうなった状況は私の運でもある。
仕方ないことなのだ。
疑われても仕方ない。
「…うん。私ももうちょっと注意深く自分の体を見って直してみる。ひょっとしたら何かあるといけないしね…!」
──ごめん、嘘なの。本当にごめんね。
「心配させて落ち込ませてごめんね…?」
──お願い、嫌いにならないで。落ち込まないで、あなたは間違ってないから。
「早く治すから…天元も怪我なく早く帰ってきてね。待ってるから。」
──もう貧血は治ってるの。嘘ついてごめんね。
頭の中でいくら言い訳をしたところでそれを伝えることもできない。
私たちの関係は恋人同士なのに見えない距離感が出来てしまった気がした。
全て自己責任。
仕方ないことなのに悲しそうな目をしている宇髄さんを見ると私も泣きそうになってしまう。
好きな人がツラいと私もツラい。
でも、宇髄さんだって私が怪我した上に実は貧血だったなんて急に言われたらツラいに決まってる。
何で気づかなかったんだって思うに決まってる。
どれだけ謝っても謝りきれない。
いずれ必ず言うから。
約束する。
だからどうか彼の心が少しでも安らぎ、癒されますように。
「…天元、大好き」
「ん、俺も。帰ってきたら覚悟しろよ?」
そう言って笑ってくれる顔が帰ってくる時には今より明るくなっていますように。
願わくば
私が彼を陽だまりのような存在だと思っているように私も彼のそれになれますように。