第7章 君は陽だまり
「おい、顔上げろって。そんな全力で謝るほどのことじゃぁねぇだろ?」
「ほどのことですーーー!穴があったら入りたいです。もう私のこと埋めてください。お世話になりました。土に還ります。」
「コラ、何言ってんだ。土に還っても秒で掘り起こすぞ。」
宇髄さんの顔は全く怒ってはいない。でも、男の人に免疫のない私からするとあの膝枕は死ぬほど恥ずかしい。
しかも、相手は好きだと自覚してしまった人だ。
恥ずかしいやら嬉しいやらで頭が沸騰するのも仕方ないと思う。
土下座したまま畳に頭をつけているとふと、懐に何か膨らみがあることに気づいた。
(…あれ?何だっけ?)
こんなところにお財布などしまっていただろうか?いつもと違うそこの膨らみに軽く触れると硬い感触にハッとした。
(…そう言えば…わたし、お遣い…、お遣い…?お遣い!!!)
今度は土下座していた頭を思いっきり上げると懐に仕舞い込んだ包みを取り出す。幸いなことにそれは壊れてはいないと思うが、このまま土に還っていたら渡すのを忘れるところだった。
「すみません…これも失念していました…!お遣いの品物です。遅くなりましたぁ…!」
「ああ、それな。気に入ったか?」
そう言って少し照れ臭そうに優しく笑う宇髄さん。その顔が見たことないほど可愛く感じてドクンと胸がうるさい。
でも、"気に入ったか"なんて何故私に聞くのだ。
「え?あー、えっと、私は凄く素敵だと思います!どうぞ。」
包みを開けると可愛らしい箱が再びお目見えしたので、そのまま宇髄さんに向かい、畳を滑らせるが、壁際の私と部屋の真ん中にいる宇髄さんとは距離があるのでまだ私の目の前にあるという表現のが近い。
差し出されたその箱を見る宇髄さんは眉間に皺を寄せて首を傾げている。
「は?俺が付けるわけねぇだろ。」
「え、さ、流石にそれは分かってます…!」
いくら先ほどの表情が可愛く感じたとて、彼がこの可愛い花飾りを付けるのは些か無理がある。
何ならちょっと男色を疑われてしまう。