第31章 忍び寄る終焉※
正直、ふわふわとした雲の上を歩いているような感覚でしかない。
それくらい嘘で塗り固められた私の今の状況に身動きが取れずに怖い。
いつバレるか。
バレた時の身の振り方を未だに分からないでいる。
昨日の昼に宇髄さんと一緒に昼餉を食べてから屋敷に帰ってきたがどうも居心地が悪い。
厠に行くにも「大丈夫か?」と逐一聞かれて、挙句の果てに抱き上げられて移動される。
夜は任務もあるのだから宇髄さんこそ休んでほしいのに私のことを気にしてくれていて申し訳ないと言う気持ちで溢れている。
正直、貧血なんてもう無い。
だってアレは珠世さんの採血で大量に血を取られたからで増血剤も飲んでるし、一過性のものだ。
病的な物ならばもちろん良くないが、私のは間違いなくそれで宇髄さんのことを無駄に心配させているだけなのが心苦しくて仕方ない。
「天元…?今日の夜、任務あるんだよね?」
「ん?ああ。警備なんだけどよー、その地区がちょっと遠いんだわ。また三日ほど家を空けねェといけねぇ…」
「あ…そうなんだ…。寂しいなぁ…。」
瑠璃さんもいないし、最近では日中、雛鶴さん達が正宗達と仲が良くて、なかなか一緒にお出かけもできないので暇を持て余している。
宇髄さんもいなければ、琥太郎くん達のところに遊びに行きたいくらいだけど…家で大人しくしていろと言われるに決まっている。
「大人しく待ってりゃァもうすぐ花火大会だ。その日は一緒に行けるように調整してあるからよ。」
「…!!はなび…!!うん!花火楽しみっ!!」
「その前にお前は怪我を早く治せ。こっちはどれだけ我慢してっか分かってんのか?お前のせいで溜まってんの!!」
「え?別に大丈夫だけど…?何で我慢するの…?」
こちらは貧血ももうないし、足の怪我だって大したことない。怪我した当初から動けるくらいの軽い怪我だ。
流石に自分で刺したんだから当たり前だ。
私だってそんな思いっきり刺すなんて怖いし、大きな血管がある部位は慎重にやらなければ命にも関わるのだ。
薬師だからこそその辺は考慮して切り裂いたのだから私からしたら擦り傷程度のこと。
宇髄さんの性欲が溜まるのならば言ってくれたら良かったのに…。