第31章 忍び寄る終焉※
自分で刺しただぁ…?
俺の女を勝手に傷つける奴は許さねェ。それがたとえほの花であっても。
だけど…胡蝶の言葉がわからないわけでもない。一方的に叱りつけるのは自分本位すぎたかもしれない。
すると胡蝶がほの花に再び言葉をかけ出したのでそれに聴き入る……
「…ほの花さん。お疲れ様でした。怪我の静養はこちらでされますか?炭治郎くんたちもいますし、賑やかに…」
「連れて帰るに決まってんだろ?!ほの花、帰るぞ!」
つもりだったが、とんでもない提案をしたのですぐさま横槍を入れることに成功した。
そんなものは駄目に決まっているだろうが。
竈門炭治郎とただでさえ仲が良いというのに俺のいないところでこれ以上仲良くされちゃァ立つ瀬が無い。
「あら…そうですか?あまり無理させないでくださいね?」
「わぁーってらぁ!!ほの花!飯食ったら帰るぞ!」
「あ、は、はい!!しのぶさん、すみませんでした…!」
やっとほの花と目が合ったが、俺にビビってる様子を見て気づく。
怖がらせてたら元も子もない。家で静養させるならば俺と気まずい関係になっては意味がないのだ。心身共に休ませてやらねぇと…。
「歩けないほどではないですよね?明日か明後日もう一度怪我の状態を見せて下さいね。」
「は、はい!歩けます!昨日も歩けてました!」
「傷薬は…ふふ。処方しないで良いですね。此処で出すのもあなたの作ったものですし…。」
苦笑いをして頷くほの花に胡蝶は納得したように笑うと俺に目配せをしてそのまま部屋を出て行った。
その目が「もう此処で押し倒すなよ」って訴えていて肩を竦ませる。確かにさっきは寝ぼけていたのでつい押し倒してしまったが、覚醒している状態で怪我してる自分の女を押し倒したりしない……と思う。
言い切れないのはほの花がクソ可愛いせいで俺のせいではない。
目の前にあんなクソ可愛い婚約者がいたら押し倒したくなると言うものだ。
再び二人きりになったので、ほの花を見つめると気まずそうに下を向いてしまったので、しゃがんで目線を合わせてやる。
そうすれば黒目がちの清らかな瞳が俺を捉えて揺れていた。