第31章 忍び寄る終焉※
完全に寝ぼけてた。
ほの花を腕に抱いて寝たところまでは記憶にあるが、そうしてさえしまえばいつもの空間になってしまうので場所など何処でもいいわけで…
ほの花が朝から積極的だなぁ…なんて思って押し倒したら頭を何かで殴られた。
どうやってやったんだよ?目の前にいるのに…と働かない頭で続きをしようとしたところ、ほの花が怯えながら向ける視線の先に
枕を持ってる胡蝶がいた。
(…ああ、それで叩いたわけね…。)
漸く状況が把握できて、ほの花の上から退くとグーっと背筋を伸ばす。このベッドは俺にはちと小さい。しかもほの花と一緒に寝ていたのだから当たり前だ。
だけど、いくら物理的に困難だとしても譲れないのはコイツの隣で寝ること。
精神衛生上はかなり安眠ができる。その証拠に今も完全に寝入っていた。
蝶屋敷だと言うことで俺以外にも柱がいるという状況下で眠りも普段より深かったかもしれない。
「んーーっ!お、ほの花。体は大丈夫か?」
俺が退いたことでゆっくりと体を起こしたほの花は昨日の夜見た青白さは無く、すっかり顔色は良くなっている。
「はい!ご心配をおかけしました…!しのぶさんもありがとうございます。」
「いえいえ。でも…ほの花さんにはいくつか質問があります。いいですか?」
「あ…はい。」
恐らくほの花も胡蝶に聞かれるかもしれないと覚悟をしていたのか、困ったような顔をしながら微笑んでいる。
柱二人に見下ろされて普通の隊士なら震え上がるところだが、コイツは俺の女だし、胡蝶とも仲が良い。
こんな微笑む余裕があるのはほの花くらいかもしれない。
「単刀直入に聞きます。木が突き刺さったっていうのは嘘ですよね?」
「あはは…はい。すみません。咄嗟に…不死川さんが心配すると思って…。申し訳ありません。」
内容はとても褒められるようなものではなさそうだが、素直に話す気があるようでその瞳は真っ直ぐと俺たち二人を見つめていた。