第31章 忍び寄る終焉※
「そういうことですか。…しかし、二週間以上経っていると言うことを鑑みても直接関係はないでしょうね。」
胡蝶にそう言われてホッとした。
瑠璃のことは俺の責任でもある。
だから自分のせいでほの花の体が蝕まれていたなんて考えたら、謝っても謝りきれない。
ほの花のことだから大して気にしないと思うが、それが余計に申し訳なく感じる。
「そうか…。だったら…何でアイツ貧血なんかに…。」
「それと太腿の裂傷の件はほの花さんが起きたら聞いてみます。今、鎮痛剤を入れて眠ってるので。宇髄さん、付き添われますか?」
「ああ。病室教えてくれ。」
「教える前に…盛らないで下さいね?」
「わぁーってるわ!!」
今までの自分の行動を考えるとその発言は致し方ないと思うが、怪我人相手にガッつくわけが…ない。
口づけくらいはしちまうかもしれねぇけど。
「じゃあ、俺は帰るわァ。宇髄、あとは頼んだぜェ。」
「おお。世話ンなったな。つーか、俺のほの花に触ったか?!触ったよな?忘れろよ、感触!思い出してオカズにすんなよ?!」
「テメェと一緒にすんなァアアアッ!!」
「お二人とも朝方なのでお静かにして下さいね?」
ニコニコ笑顔の胡蝶の目が笑っていないことにすぐに気づいた俺たちは顔を見合わせて頷き合うと手を上げて不死川を見送る。
ほの花に会えるのは嬉しいが、この後胡蝶と二人で取り残されるというのもなかなかの恐怖だ。出された茶に毒を盛られる前に大人しくしておくのが得策だ。
「こ、胡蝶…さん。病室、教えろ…て、ください。」
「ふふ。こちらです。」
疑問は解消できていないが、刀の裂傷ということは誰かにヤられたということだ。
怪我人の手当てをしていたんだ。刀を使うことなんてない筈。
何でこんなことになったのか見当もつかない。
行くまでのほの花は本当に普通だった。
それなのに急に貧血があったと言われても首を傾げることしかできない。
「…誰かに刺された可能性は…?」
「全くないわけではありませんが…それにしては傷が浅いので殺意はないかと…。」
益々分からない。
だとしたら一体なぜ急に貧血になり、怪我を負った?
分からないことが一気に頭を埋め尽くして天を見上げることしかできなかった。