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陽だまりの先へ【鬼滅の刃/音夢💎】R指定有

第31章 忍び寄る終焉※




宇髄さんが少しだけ狼狽えた。
それはほんの僅かな表情の変化だけど見逃すわけにはいかない。
ほの花さんの体のことは稀血のことを含めて物凄く大事な機密条項だからだ。


「…話すと長くなるけどよ…、俺の昔の許嫁が訪ねてきてほの花と一悶着あったんだ。今となっちゃァ、姉妹みたいに仲良くなっちまってソイツももう屋敷を出て行ったんだけど…」


「…その方と何かあったんですね?」


ほの花さんは刀鍛冶の里に行っていた一ヶ月間、お館様の薬の調合もなかったから体に抱えていた負債はだいぶ良くなっていたと思ったから、先ほどの彼女の体の状態は不思議でしかない。

このことは宇髄さんも知らないことだから迂闊に言えやしないが、悪化していたお館様の体調はほの花さんがきてからその悪化の速度が格段に緩くなっている。
それは間違いなくほの花さんの調合と…あの力のおかげだ。

分からない程度に少しずつ力を使っていたほの花さんの体への負債は計り知れないが、お館様にはまだ生きていてもらわなければ困るという鬼殺隊としての想いが先に来てしまい、止めることができない私は相当な悪人だと思う。


だからこそほの花さんの体の変化には人一倍注意をしていたと言うのに…。

宇髄さんは言いにくそうに視線を下げてから、もう一度私に向き合うと言葉を紡ぎ始めた。


「…逆上したアイツはほの花に毒を飲ませたらしい。」


「毒…?!何の毒ですか?!ほの花さん、私には一言もそんなこと…!」


「俺も…詳しくは分からねぇんだ。でも、自力で解毒剤作ってその後、体調はいい。そこから二週間以上経ってるから…直接関係あるかは分けらねぇけど。言わなくて悪かった。」



宇髄さんがほの花さんの体調のことを逐一私に報告する義務はない。
どちらかと言えばこれは私とほの花さんの二人の取り決めであって彼は関係ない。

いや、彼に知られてはならないこと。
そうなれば彼女は薬師の仕事すら反対されるかもしれない。

それほどまでに大切に大切にしている宇髄さんの宝物なのだから。

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