第31章 忍び寄る終焉※
「お二人とも処置終わりましたよ。ふふ。やっぱり宇髄さんはほの花さんのことになるとお早い到着で。」
「胡蝶!!ほの花は?!怪我の具合はどうなんだ?!」
いつもと変わらない胡蝶が声をかけて来たことでやっと俺たちの空間に音が甦ったが、あまりにほの花の鈍臭さに若干恥ずかしくて不死川を責めたのを悔やんでいたところだった。
それを隠すために胡蝶に詰め寄ったが、先ほどまでにこやかな表情だったと言うのに聞いた瞬間少しだけ表情が曇ったことを俺は見逃さなかった。
「…まさか…、良く、ねぇのか?」
「いえ…。そうではないんです。不死川さんに確認してもいいですか?」
「あ?おお。何だよ?」
俺を通り越して後ろにいた不死川に声をかけると、不死川は俺の隣に並び、胡蝶と向き合った。
怪我の状態が良くないわけではないとはどう言うことなのか?
「ほの花さんは枝で怪我をしたと言っていたんですよね?」
「ああ。転んで突き刺さっちまったって。」
「残念ながら突き刺さったような痕は見受けられませんでした。あの傷は間違いなく刀による裂傷です。」
裂傷?
裂傷っつーことは刀で誰かに切り裂かれたってことで…。
そこまで考えると怒りで奥歯をぎりッと噛み締めた。
「…ちょっと待て…?誰がほの花にンなことやってんだよ?ふざけやがって…八つ裂きにしてやる…!」
「宇髄さん。落ち着いてください。あなたにも聞きたいことがあるんです。」
「はぁ?!何だよ。」
「…ほの花さん、最近体調を崩していましたか?」
胡蝶の質問の意図が分からず首を傾げる。
それが裂傷とどう関係があると言うのだ。全く意味がわからない。
「体調は…崩してねぇと思うけど…何でだよ。」
「昨日のお昼お会いした時は全然感じなかったんですが、ほの花さんに酷い貧血症状が出てるんです。怪我による出血はそこまで酷くないし、月のモノでもないのに変だなと思って。」
体調など崩していなかった。
此処数日は間違いなく元気だった。
だけど、言ってないこともあった。
瑠璃の…毒のことは言ってない。
回復して既に二週間以上が経過していてそれじゃないと思いたいが…。
駄目だ、俺には判断できない。
仕方なくそれを話すため口を開いた。