第31章 忍び寄る終焉※
重傷の方の処置を終えて、軽傷の人の応急処置をしていると不死川さんが戻ってきた。
帰ってきた彼を見るところ元からの傷はあるが、新たな怪我はなさそう。
それを見るだけでさすが風柱様…と舌を巻く。
しかし、やっと救護に一区切りついて、隠の人が怪我人を運び終えたところで不死川さんが私の足の傷に気付いてしまった。
なるべくスカートで隠れるところをと思って選んだのに、座っていれば自然と丈が上がって見えてしまっていたのだ。
慌てて隠そうにもやはりスカートの丈は足らない。咄嗟に転んで木の枝が刺さったなんて言ってしまったが、言い訳をちゃんと考えておくのだった…と今更後悔した。
しかも、終わったことで気が緩んだのか貧血の症状が出始めてしまい、目の前がチカチカし出して、冷や汗が流れ落ちる。
「お前ってそんな鈍臭かったかァ?お前こそ胡蝶に診てもらった方がいいなァ。それ終わったら俺が運んでやる。」
「んなぁっ?!い、いや!大丈夫!大丈夫です!!」
「はぁ?でもよォ、お前、顔色も良くねェぜ?」
不死川さんも宇髄さんほどじゃないが洞察力が半端ないらしい。
顔色なんて鏡がないのだから確認しようがないが、そんなところまで見てくれていたなんて考えただけで目が回る。
広げていた薬剤を薬箱にしまい蓋を閉めると、それを持ち立ち上がった。
「本当に大丈夫ですから。さぁ、帰りましょう!風柱様お疲れ様でした。」
「お、おい…。」
そう言って一歩足を踏み出した途端に私の視界がぐにゃりと歪んだ。
突然のことで頭が対応できなくて、倒れる…!と思った時には地面が目の前にあったけど、体に衝撃も痛みもちっとも訪れなくてゆっくりと目を開ける。
「っ、おい…!大丈夫かよ…!」
その声に顔を上げれば、体を不死川さんが支えてくれていることに気付いて、慌てて離れるがふらついていて尻餅をついてしまった。
「いで、…っ!」
「おいおい…、大丈夫じゃなさそうだな
ァ?こりゃァ、宇髄にドヤされっぞォ…。(俺もコイツも)」
「えぇ…?!ああ……あははは…。」
見合わせた顔が全てを物語っている。
こう言う時は協力し合いたいものだが、残念だが体が言うことを効かなくて言い訳も通らないだろう。
どうしようもない二人のため息が空に吸い込まれて行ったのは言うまでもない。