第31章 忍び寄る終焉※
(ちょこまかと逃げやがる鬼畜生だなァ…!おい…!!)
妙な血鬼術のせいで危なくなると姿を消して回復させて帰ってくる糞鬼。
突然予期せぬところから現れるソイツのおかげで数名の隊士は既に怪我人だ。
ほの花が来てくれてて助かったが、今アイツを此処に呼び寄せるわけにはいかねェ。
何とか俺がこの鬼を仕留めないと怪我人の応急処置すらしてやれねェ!
しかし、何度も消えては出てきて、消えては出てくるその鬼の大体の攻撃様式が見えてきたと同時に、消えちまうが足音が聴こえることに気がついた。
俺が宇髄ほど耳がよければもっと早く気づいただろうに…!!畜生め。
そんなことを気にしていても仕方ない。
これ以上、負傷者が出ることは困る。
その音を頼りに奴を追いかけることにした俺は近くにいた隊士に声をかけた。
「おい!お前ェ、あとは俺が殺るから重傷の怪我人を先に連れて行けェ!此処から先は食い止める!」
「か、風柱様…!しょ、承知しました!!」
全滅してないだけマシだ。
兎に角、誰一人として死んでない現状を守るためには一刻の猶予を許さない。早く治療を受けさせねぇとまずい奴らもいる。
その隊士が血だらけの隊士を担ぎ上げるとほの花がいる方に駆けて行ったのを確認するとそれを追いかけようとする足音に向かって日輪刀を振り下ろした。
「ぐっ…!!な、何故…?!」
「もう…遠慮はしねェ…。よくもコケにしてくれたなァ…?!風柱様を舐めんなよォ?鬼畜生目がァアアアッ!!!」
此処からは俺の番だ…。
舐め腐りやがって…!
──風の呼吸 壱ノ型 塵旋風・削ぎ
鬼に情けなどない。
必要ない。
真っ直ぐに振り下ろしたその技に吹き飛んだ首が俺の後ろでゴトッと音をさせて落ちてきた。
「…い、痛イィィ…!痛イィィっ!!!」
「うるせぇな。黙って死ねやァ。」
体も顔も崩壊が始まっていくのを確認するとほの花が応急処置をしてくれているだろう場所に向かった。
今回は宇髄にどやされずに済みそうだと思い、ホッと一息吐いたが、それが時期尚早だと気付いたのはほの花の元に着いてしばらくしてからだった。