第31章 忍び寄る終焉※
炭治郎と珠世さんのことでいろいろ話していたらすっかり陽はてっぺんに昇っていてお昼を知らせてくれている。
キュルルル──
「あ…、ご、ごめん。」
炭治郎のお腹が鳴ったことで確かにそろそろお昼ごはんの時間だと近くの部屋の壁にかかっている時計を見た。
時刻はちょうど正午を示していて、炭治郎の腹時計はとても正確のようで顔が緩んだ。
「あははっ!お腹空いたねぇ。私もしのぶさんとお昼ごはんご一緒する約束してるの!そろそろ行こうかな。」
「そっか…。いろいろ話せて嬉しかった。情報共有って大事だね!」
「本当にそうだね。炭治郎がいてくれて良かった。ありがとうね。」
立ち上がりながら御礼を伝えていると、パタパタと誰かが走って来る音がした。
「ほの花ちゃーん!」と私を呼ぶ声はアオイちゃんだ。
炭治郎達の病室の方から聴こえてくるので、炭治郎と一緒に声の方に向かっていくと、アオイちゃんが中から出てきたところで鉢合わせした。
「あ!!いた!ほの花ちゃん!音柱様がもうお見えだよ!しのぶ様が機嫌が悪くなる前に連れてきてって!」
「え!!もう?!」
帰ってきたばかりなのだからもう少し寝ていたらいいのに…。
しのぶさんが"宇髄さんもお誘いしましょう"とは言っていたけど、今日の夜も任務があるだろうに大丈夫なのだろうか?
いや、私なんかに心配されなくても大丈夫か…。そもそも体力が全然違う。全く違う。立ち所に違う。
比べるところを間違えたと思って苦笑いを浮かべながら、炭治郎に向き合った。
「炭治郎!話相手になってくれてありがとうね!また何かあったら話聞いてね!」
「もちろん。俺こそ話してくれて嬉しかった。じゃあ、しのぶさんと宇髄さんによろしくね。」
同じ屋敷の中にいると言うのに別れの挨拶をするなんてなかなか変だけど、蝶屋敷は隊士の方がこうやって入院しているところも併設している。
そのため、しのぶさん達の居住用の棟とこちらの棟とは同じ敷地内だけも、廊下で繋がっている離れみたいなもの。
私は炭治郎と別れると真っ直ぐにしのぶさん達のいる棟にアオイちゃんと一緒に向かった。