第31章 忍び寄る終焉※
蝶屋敷に上がらせてもらうと真っ直ぐに炭治郎たちの病室に向かった。
どれだけ頭で考えたとしても現実は変わらない。
任務に連れて行ってもらえないことを悲観するのはやめよう。
今日は不死川さんの任務があるんだ。
医療班としてだけど、宇髄さんの顔に泥を塗るようなことはできないから余計な感情は任務に支障をきたすだけ。
病室の前で一つため息を吐くとひょこっと顔を覗かせる。
「アアアアアアッ!!!ほの花じゃないかぁあああっ!相変わらず美人だねぇえええっ!?どうしたの?まさか俺に会いに来てくれたの?!」
「ぜ、善逸…、えと、あー……た、炭治郎は?」
善逸が圧強めに入口を覗いていた私のところまで走ってきて手を握ってくれたけど、後ろを覗いて見ても炭治郎の姿がない。
しかし、自分に用事じゃないとわかるとつまらなさそうに口を尖らせて大きな息を吐いた。
「…アイツなら庭の縁側の方にいると思う…。」
「あー、えと、ぜ、善逸の体の状態も見に来たの!体はどう?」
「エエエエッ!?やだなぁ!先に言ってよ〜!もうすっかり良いよぉ!!ほの花のにが……ゴホンッ、お、美味しい薬のおかげだよ!!」
いや、流石に薬の味にお世辞を使われても全く嬉しくない。
苦笑いを返してよく顔色を見てみると本当に良くなったのがわかるのでホッとした。
手足も元に戻っているようだ。
「あはは…あの薬はまずいよ。だから大丈夫だよ。よく効くってことを売りにしてるから。」
「とっても!!よく効きましたァアアアッ!!」
くねくねと不思議な動きをしている善逸に炭治郎のところに行く旨を伝えるとまたあからさまに嫌そうな顔をしたけど、窘めて踵を返した。
すっかり機能訓練もできるようになっていて、あの三人は飛躍的に成長したように思う。
上から目線にそんなこと言える立場にはないけど、肌で感じる。
きっと陰陽道を駆使したらまだ私のが強いかもしれないけど、元々男の子だし力の強さなんてそのうち抜かれるだろう。
見えてきた縁側に座っていた炭治郎の後ろ姿はあの柱合会議の日よりたくましく見えた。