第31章 忍び寄る終焉※
そして私にはずっと言えないままだった疑問がある。
それはただの疑問で、特に気にもしていなかったけど、その疑問がより浮き彫りになったのはこの前の炭治郎たちが怪我をしたと言う任務だ。
那多蜘蛛山での十二鬼月との戦い。
私はその時、刀鍛冶の里にいて詳しいことは知らないが、炭治郎たちの話を聞いていると分かったことがあった。
その戦いにしのぶさんと一緒にカナヲちゃんも同行したと言うことだ。
蟲柱であるしのぶさんの継子であるカナヲちゃん。実はそう言う話をしたことはなかったけど、一緒の任務についていたことに私は少なからず驚いた。
だって私は宇髄さんの継子となって半年以上経つと言うのに任務の同行を指示されたことは一度もない。
不死川さんや無一郎くんに同行したことはあっても何故師匠である宇髄さんの任務に同行したことがないのだろうか。
仲違いをしていた時、不死川さんの計らいで偶然任務が一緒になったことはあったが、それ以来本当に一度もないのだ。
でも、鬼殺隊に入って間もないわけだし、そう言うものなのだと思っていたから気にしたことはなかった。
しのぶさんとカナヲちゃんの件を聞くまで。
聞いたことはないが、宇髄さんはひょっとして意図的に私と任務が被らないようにしていたのではないか?
そんなことを考え始めても宇髄さんのことを責めたいわけじゃない。
だって私のことが関わった時に一番最初に出てくることは"私を想ってのこと"だからだ。
きっと私がいると任務に集中できないのだろう。
私のことを守ると思ってくれている彼のことだから。
でも、生死に関わる任務において、柱として臨む戦いに守らなければいけない存在は邪魔だけだ。
蔑ろにされているのではないということも重々分かっている。
私のことを大切にしてくれているからこそだと言うことも分かっている。
でも、いざとなった時、私は彼を守ると言っているがそれだけの強さもないし、きっとお荷物になる。
宇髄さんはそれも分かっているから私を連れて行かないんだ。
私の心も命も守るため。
私の為なんだ。
すごく大事にされている。
すごく愛されてる。
でもね、何でだろう?
物凄く寂しい。
任務で味わう痛みも苦しみも喜びも共有できなくて、継子として情けないし、悲しいんだ。