第31章 忍び寄る終焉※
「炭治郎君たちに会って行かれますか?」としのぶさんに言われたので私はそういえば炭治郎に聞きたいことがあったのだと思い出す。
宇髄さんが待ってるかも…、とも思ったけど先ほど帰ってきたばかりなのだから今ごろ眠っているかもしれない。
起こすのも悪いのでしのぶさんの申し出に頷いた。
「そうしてもいいですか?カナヲちゃんたちにも会いたいし。」
「ええ。是非そうして行ってください。昼餉もご一緒しませんか?折角ですし。宇髄さんに怒られるなら彼もお誘いしましょう。」
「え…!で、でも…た、炭治郎たちのことをよく…思ってない、かも…です。」
「ふふっ、もちろん昼餉は別ですよ。彼らは病室で食べていますので。」
あ…そうなのか。そりゃあそうか。入院してるんだもんな。
危うく一触即発な場面を想像してしまって慌ててしまった。
「ほの花さんのことになると大人げないですからね。宇髄さんは。あとで鎹鴉を飛ばしておきます。」
「あ、あはは…。」
否定できないことを宇髄さんに全力で謝りたいが、だって事実…、こらこら継子が師匠のことを庇わなくてどうするのだ。
今のは完全に恋人としての返事だった。
慌ててしのぶさんに向き合うと顔を引き攣らせながら「宇髄さんもきっとその場になれば大丈夫だと思います!!」と声を張り上げてしまった。しかし、目をまんまるくしたしのぶさんはうーん…と唸り始めたことで、余計なことを言うんじゃなかったと反省した。
「す、すみません…!や、やっぱり訂正します…!」
「はい!そうですね!考えてみましたけど想像すらできませんでした。」
「……(宇髄さん、ごめんなさいぃ…)」
心の中で謝っても時すでに遅し。
しのぶさんはニコニコと笑いながら屋敷の中に入って行ってしまった。
最近、彼をちゃんと師匠として扱えなくなってきている。もちろんそれを咎める人などいないのだけど。
彼も私を継子として見られないと言っているように私もそうなのだ。
しかし、任務の時それでは示しがつかない。カナヲちゃんはしのぶさんのことを師範って呼んでるし、私も他の人の前では師弟関係をちゃんと遂行しなければいけないと思う。