第31章 忍び寄る終焉※
大好きな大好きな…お姉ちゃんみたいな瑠璃さんがいなくなってしまって、姿が見えなくなってもその場から動こうとしない私に見兼ねて、宇髄さんだけが隣に残ってくれてずっと頭を撫でてくれてる。
どれくらいそうしていたのだろうか。
涙が止まりかけた頃に漸く宇髄さんが話しかけてきた。
「…おーい、そろそろ俺も構ってくれよ。お前の婚約者だぞー。」
「ひぇ、ご、ごめん、なさい…。あまりに、悲しくて…!家の中、入ろ!」
「瑠璃のこと、ありがとな?」
突然、宇髄さんにそう御礼を言われてしまい、何のことだか分からずに首を傾げた。
御礼を言われるようなことなどしたとは思えない。どちらかといえば、今私は泣き噦った上にそのまま此処でいじけていたし、謝るのは私の方では?!
途端にやらかした…!と眉を下げると、温かい手が私の背中を撫でてくれた。
「瑠璃があんなに穏やかな顔をして去っていったのはお前のおかげ。最初はどうなることやら…ってほの花のことも傷つけたよな。でも…、やっぱり俺はお前を選んで正解だった。瑠璃の蟠りを取り除いて居心地良くいられるようにしてくれたんだよな。ありがとな。お前は最高の婚約者だぜ。」
…そんなことない。
そんなことないよ。
宇髄さんはそうやって私を褒めてくれるけど、私が瑠璃さんと仲良くなったのはただ弱虫で、色々あり過ぎて、取り繕う必要のない相手だったから甘えてしまっただけのこと。
そうしたら瑠璃さんが受け入れてくれたから今がある。瑠璃さんがいたことで私の方が居心地がよかったんだ。
本当ならあの三人の元奥様達ともそうなりたいと思っていても…私にそれをするのは難しい。
そんなことするのは烏滸がましいことだから。
「…天元ったら、大袈裟だよ…。私はそんな凄い人間じゃない。ただ…瑠璃さんのことが好きだっただけ。」
「だとしても…俺の女はド派手に最高なの。さ、中入って、茶でもしばくか。明日からはしばらくゆっくりできねぇからな。」
優しく手を掴むと庭に周り、縁側に促される。
でも、通り過ぎた瑠璃さんの部屋がまだ私の心を虚しくさせた。