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陽だまりの先へ【鬼滅の刃/音夢💎】R指定有

第31章 忍び寄る終焉※





皮肉なものだ。
その時の喧嘩のせいで瑠璃さんの着物を汚してしまって、それを受け取りに来た日にそのきっかけとなった人に会っていた事実を知らされる。

こんな嘘みたいな偶然あるだろうか。
少なくとも世間は狭いんだなぁと思わざるを得ないし、これも何かに引き寄せられた運命なのかとも思った。


「まぁまぁの男前じゃない。ほの花、やるわね。」


「ってぇ?!で、ですから!!私は何とも思ってないんですよ?!本当です!ただ患者さんだったので素顔を見たことあるだけで…!」


「はいはい。分かってるわよ。何頼む?だから今日は昨日の分までご馳走するわ。」


瑠璃さんがお品書きを渡してくれるが、私は誤解されていないかが気になって仕方がない。
ズイッと渡されるその紙を受け取ると、文字の羅列をひたすら見るが気が気でない。
しかし、こうなったらやけ食いだ…!


「遠慮しませんからねぇ?」


「どうぞ?」


そう言うと本当に遠慮なくあんみつ二杯と豆大福十個と水饅頭十個と葛切りを二杯頼んだ。
呆れたように私を見ていたけど、食べずにはいられないのだ。
注文をした後、瑠璃さんが出されたお茶を少し飲むとまた口を開いた。


「あなたはそれくらいでいいのよ。私の前では気を遣わないで済むんでしょ?だから帰って欲しくないんでしょ?分かってるのよ?」


「…む、…。」


あまりに図星を突かれて今度は涙ではなく冷や汗が背中を伝った。


「…気を遣わないほの花のが可愛くて好きよ。天元だってその筈よ。それにあのハガネヅカ?って男もあなたの素の姿に惚れたんじゃないの?」


「は、鋼鐡塚さんはわかんないですよ…!宇髄さんに指摘されて知ったけど…未だに何故なのかサッパリです。」


「男なんて化粧した綺麗な女が好きでも、心まで化粧している女なんて好きじゃないのよ。その点、ほの花は絶妙よ。裏表ないし、そういうところは男受け良さそうよ。」


手の上に顎を乗せてにんまり笑う瑠璃さんの顔は恐らく揶揄っている時のそれだ。
瑠璃さんは気を遣わないから帰らないでほしいんでしょ?って言った。確かにそれもあるけど、私の考えなんてお見通しで全てありのままを包み込んでくれるところが宇髄さんに似てるんだ。

それもあって私は瑠璃さんが好きなんだと思う。

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