第31章 忍び寄る終焉※
図星だと言うかのように涙が止めどなく溢れてきた。
違う。
違うよ…!
そんなことない!
心の中でいくらそう叫んでも瑠璃さんの言葉に勝手に反応してしまう体が涙を作り出していく。
「…ほの花。泣けばいいのよ。ツラかったら。天元にそう言って甘えればいい。アイツは男気だけはある男よ。ほの花が望むようにしてくれる筈。あ、別れること以外だけどね。フフッ」
「…っ、瑠璃さん…。」
泣きながら歩いてきたのでふたば屋さんのまえまではあと少しと言うところで瑠璃さんが歩みを止めた。
「言えなかったけど、実は昨日、甘味を買いに行ったら知らない男に声をかけられたの。」
「え…!?告白ですか…?!」
「馬鹿ね。そう言うのじゃないわ。あなたの知り合いだったみたいよ。」
甘味屋さんの前で会った知り合いと聞いて真っ先に思い浮かぶのは蜜璃ちゃんだけど、男性と聞いて首を傾げる。
甘味が好きな男性…不死川さん?おはぎでも買いに行ったのだろうか?
そう考えているうちにすっかり涙は止まっていて、瑠璃さんが笑かけてくれた。
「…一人で買いに行ったらあそこのおじさんが『ほの花ちゃんは一緒じゃないのかい?』って声をかけてくれたの。」
ふたば屋さんの店主のおじさんは凄く優しくて常連の私のことを覚えてくれていてよくオマケもくれる。
仲良くなってからは瑠璃さんと歩いているところを何度か目撃されているので知っていたのだろうか。
「だから『家で天元と待ってるわ』って言って、甘味を買って帰ろうとした時にその男に声をかけられたの。『ほの花の知り合いか?』って。」
「…その人って…ひょっとこのお面つけてましたか?」
「ええ。やっぱり知ってたの?元恋人ってわけじゃないわよね?天元が初めてだったわよね?」
「私の…元患者様で担当刀鍛冶の方です。」
まさか瑠璃さんともバッタリ会っていたなんて思いもよらなかった。
瑠璃さんが昨日そんなこと一言も言っていなかったのは宇髄さんが怒り狂うかもと思って敢えて言わなかったのかな?
もしそうなら本当に機転が効く人だ。
私の答えを聞いて「そう。」とふわりと笑った瑠璃さんは「行きましょう」と言ってふたば屋さんの暖簾を一緒にくぐった。