第31章 忍び寄る終焉※
そうだ。元はと言えばコイツがクソ可愛いのが問題だ。
男が好きそうな顔しやがって…、愛くるしい顔で笑うし、こちらがどれほど心配したとしてもそれは変わらない事実なのだから。
かと言って…、そんなことをほの花に咎めても仕方ないことだと分かっている。
くそ、やり場のない怒りとはまさにこのことだ。
「もう〜。鋼鐡塚さんが思ってることは…分からないけど、私は天元の元から離れたりしないから。信じてね?」
「……絶対に離れんなよ。俺が死んだらアイツ手を出すつもりらしいから絶対ェに死なねぇ!死んだら引っ叩いて起こせよ?!わかったな!」
「え、あの…物凄い変なこと言ってるって気づいてる…?あ、いや、死なれるのは困るからいいんだけど…。」
分かってる。
分かってるけど、万が一にでも死んでみろ。
あの男がほの花を迎えにくるかもしれないと考えただけでも身の毛もよだつ思いだ。
絶対に困る。
あの世からそんなモンみた暁には化けて出てやる。あー、くそ…!何でコイツ"おばけ"が怖いんだよ。そうなったら俺のこと怖がるじゃねぇか…。よし、やっぱり無理だ。
絶対ェに死なねぇ。
ド派手に生き延びてやるぜ。
「本気であの男に持っていかれたくねぇの!俺は!お前は俺のなの!分かったかよ?!」
「…そんなの初めから分かってることなのに変な天元だなぁ。」
「ああ、あとすげぇ不服だけど伝言預かった。」
「え?鋼鐡塚さんから?」
本当はあんな男の言伝など言いたくないが、言わなければ言わないで"小さい男"だと馬鹿にされるのが我慢ならない。
誰が小さい男だ。ふざけんなよ?!ド派手に心がデカい俺様は何でも言ってやるよ。
「宜しく!あと、舞扇折ったら二度と作らん!以上だ。」
「は…?え?ごめ、ぶ、文脈意味わからない…」
「宜しく!舞扇折んな!だって言ってんだろ!」
「え、へ、あ…う、は、はい。わ、わかりました…?」
これ以上聞いて来んなよという圧強めにそう言い切れば、もう二度と聞いてくることはなかったが、暫く腕の中で意味を考えているほの花に俺以外な男のことを考えていることに腹が立って結局は押し倒してしまった。