第31章 忍び寄る終焉※
「んんっ!!ちょ、…ん、て、ん…!」
「黙ってろ…」
「ん、ふぅ…!」
私の言葉は聞きませんと言われてるような気分だ。栓をするかのようにされる口づけは余裕がなくて、いつもより性急
鋼鐡塚さんと会ったってどういうこと?!
だって…彼は此処には居ないはずでは…?
刀鍛冶の里にいて…。
え?どういうこと?
頭の中には疑問符が飛び交い、考えが収拾つかない。それなのに宇髄さんからの口づけまで入ってもう私の頭は爆発寸前だ。
くちゅ…と舌まで入り込んで来て、「ああ、もうこのままシちゃうな」と流されかけたのに止めてくれたのは宇髄さんだった。
絡めた舌を離すとゆっくりと顔を上げた。
「…心此処に在らずだな。」
「いや、だ、だってさ…?どういうこと?」
宇髄さんは大きくため息を吐くと頭をガシガシと掻き胡座をかくと私の手を引っ張った。
勢いよく彼の胸に飛び込んでも難なく受け止めてくれて向きを変えると後ろから抱きしめてくれるとやっといつもの宇髄さんが帰ってきた気がした。
「竈門炭治郎の刀鍛冶も鋼鐡塚って男なんだと。アイツが刀を折っちまったらしくて修理したものを届けにきたらしい。」
「へぇ!そうなんだ!?知らなかった!」
まさか炭治郎と刀鍛冶も一緒だったなんて知りもしなかった。縁があるんだなぁ。
でも、宇髄さんの名前は言ったかもしれないけど、顔と名前は一致しないはずだし、どうしてわかったんだろう?
「ねぇ、何で鋼鐡塚さんは宇髄さんだって分かったの?あ、逆?宇髄さんが鋼鐡塚さんだって分かったの?」
「…向こうが分かったらしい。直前に俺を呼んだ奴がいてよ。それで目が合った。」
それを聞いてやっと納得できた。
宇髄さんが近くにいれば、"柱に挨拶をしなければ"と鬼殺隊士ならば誰でも思う。
炭治郎が出てきたと言うことは蝶屋敷の近くの話だろうし、鬼殺隊の人がいてもおかしくない。
「なるほど〜!それで機嫌が悪いんだぁ。私、鋼鐡塚さんのことは何とも思ってないからね?」
「…ンなことはわかってんだよ。ただお前のことを女として見てる男に会うと腹立つんだわ。」
「ねぇ、それ別に私は悪くないよね?」
「うるせぇ!お前が可愛すぎんのが悪ぃからやっぱほの花が悪ぃ!!」
とんだ言いがかりなのだが、後ろから抱きしめられてしまえば言い返すこともできなかった。