第31章 忍び寄る終焉※
ほの花に八つ当たりしないと心で決めてさえしまえば、押し倒す以外のお仕置き方法をひたすら考えた。
いつもなら秒で押し倒して嫉妬の限りに抱き潰すというのに。
雛鶴に釘を刺されているのにそんなことをしたものならば怒られるどころの騒ぎではない。
瑠璃もまだいるのに、俺の人権は本当に無くなる。
あの居心地の悪さと来たら、柱であっても堪えるというものだ。
必死に考えた苦肉の策は何ともお子ちゃま染みたものだったが、悶え苦しんでる震えているほの花を見るとしてやった感が半端なくてこれはこれでアリだと思ってしまった。
生まれながらにして加虐心の申し子か。俺は。
「はぁあ…わ、笑い死ぬかと思った…!もう、何なのー?!突然擽るなんて!今もまだ何か擽ったい!!触られてないのに!!」
「お前が悪ぃ。俺のこと放置して瑠璃のところばっか行くしよ。変な男には出くわすし、最悪だ!」
「は、はい?変な男に出くわした?それも私が悪いの?!八つ当たりじゃんーー!!」
「ちっげぇーー!お前が悪ぃんだわ!!」
「えー……。」
ぷぅーっと頬を膨らませて不満を露わにするほの花がまた可愛いんだが、出くわしたことに関してはほの花は悪くなくてもきっかけは完全にほの花。
よってほの花が悪い。
どんなこじつけだと言われようとも俺だってぶつけようのないこのモヤモヤをどうしたものかと考えても碌な考えが浮かばねぇ。
しかし、理由を言わないのであればほの花はもっとわけがわからないだろう。
仕方なくそっぽを向いたまま、理由を話し出す。
「…会ったんだよ。」
「誰に?あ…!まさか炭治郎?」
「竈門炭治郎にも軽く会った。」
まぁ、後ろ姿だけだが。
会ったと言うよりも見かけたというのが正しい。
竈門だとしても違う意味でモヤモヤしたかもしれないが、ほの花に対する好意がそっちの好意じゃないということは俺だってわかる。
しかし、よほど自信があったのか竈門炭治郎ではないと言う事実を伝えたら首を傾げたまま動かなくなったほの花にはっきり言うしかないとため息を吐く。
「鋼鐡塚って男だ。」
その言葉に目も口も開け広げてポカンとしたまま少しも動かなくなったほの花の唇を強引に奪った。