第31章 忍び寄る終焉※
「問題ありまくりだろうが!俺の女だぞ?!勝手に好きになってんじゃねぇ!!」
「…ほの花を好いたことにもお前の許可が必要なのか。なかなか面倒な男だな。音柱宇髄天元。」
どうやら随分面倒そうな男だということはよくわかる。
音柱宇髄天元…か。
ほの花が惚れた男のことをとやかく言いたくはないが、この男に物事の道理は通じなさそうだ。
「はぁ?!俺の存在を知ってて好いたんなら十分罪深いだろうが!」
「特にどうこうしようとも思ってない。」
「だったら俺にフラれたら自分のところへ来いなんて言ってんじゃねぇよ。」
それを聞いて、この男が此処まで怒っている意味をようやく悟った。
ほの花は結局、俺が言った言葉の意味を理解できずにそのままこの男に言ってしまったのだろう。
そう考えると…
この男もなかなか不憫な男だ。
あの女子の鈍さに振り回されているのだろう。
ほの花は可憐な見た目に反して、男慣れはしていない。そこが気に入ったと言われればそうなのだが、好いてる男にあんな台詞を誤解したままそのまま言ったのであれば…
「音柱宇髄天元…。察するぞ。ほの花は鈍い女だ。俺が言った言葉に差異はないのは認めるが、別れの挨拶に毛が生えたようなものだ。本気で奪おうと思っていたわけじゃない。」
「…だからと言ってお前がアイツに贈り物した事実は変わらねぇよ。」
「アレは世話になった礼だ。お前が死んでいなくならない限りほの花に手は出さない。約束する。」
「はぁぁああ?!死なねぇわ!!派手に生き延びてやらぁ!!お前の出番は無ぇ!!」
折角、不憫に思って哀れんでやったと言うのに何を言っても焼け石に水。
この男はどう転んでも俺が気に食わないのだろう。
自分が知らない間に恋人に想いを寄せる男が出現したなら腹が立つ気持ちもわからないでも無い。
ただ大方の予想は当たっていたようで、ほの花のことを真剣に愛しているのだと言うことだけは伝わってくる。
だからこそこんなにも怒り狂っているのだろう。
柱にのぼりつめた男でも、女が絡むと冷静さを失うのかと客観的に面白いと感じた。