第31章 忍び寄る終焉※
瑠璃さんに今後のことを聞こうと部屋に来たら隣で鎹鴉の声がした気がした。
すると、その後すぐに宇髄さんの部屋の襖が開いてどこかに行ってしまったようだった。
(…怒っちゃったのかな?私が瑠璃さんのところばかり来るから。)
そうだとしても瑠璃さんはもうすぐいなくなってしまう。
だから少しでもたくさんお話したいと思ってしまうのだ。
「どうしたのよ?」
宇髄さんの部屋の方を見てボーッとしてしまっていたようで瑠璃さんが声をかけてきた。
自分から尋ねてくせになんて失礼なのか。
「あ、えっ、と…ごめんなさい!瑠璃さん、いつ行っちゃうんですか?着物取りに行かないと…。」
「ああ、そうね。明日取りに行ったら出来てるかしら?」
「出来てるとは…思いますけど…」
そんな急に取りに行くってことは此処にいる時間はもう幾許もないと言うこと。
突然此処に来たのかもしれないけど、お姉さんみたいに私に接してくれる瑠璃さんにすっかり懐いていると言って良い。
「そう。なら明日行くからついて来て?今度はちゃんと甘味も付き合うわ。」
それは一番最初に三人の元奥様たちに労いの気持ちで贈り物を買いに行く時、手伝ってもらった日のこと。
選んでもらった後、甘味でも一緒に食べてから帰ろうと思ったけど、断られてしまった。
でも、何だか最後だから付き合ってくれるみたいで悲しくて嫌だ。
「そんな…すぐに帰らないといけないんですか…?もう少し此処にいて下さいよ…。」
「そうは言ってもねぇ。長居し過ぎたからもう帰るわ。此処にいる意味もないし、いつまでも天元に生活の面倒見てもらってても癪だし。」
「そ!それなら!私が瑠璃さんを雇います!!お話相手として!それなら…!」
「ほの花。ありがたいけどもう決めたの。ちゃんと一旦はケジメをつけないとね。あんたに酷いことしたくせにダラダラと此処に居座ってしまったから。」
酷いことをしたと言ってくれるが、もうそれを忘れてしまうほど瑠璃さんは私によくしてくれている。
ひょっとしたら…前に宇髄さんが言っていたみたいに本当は私と話すのはツラいのかもしれない。
恋敵といつまでも一緒にいるなんて居心地が悪い気もする。
それでも優しく接してくれたことで離れられなくなったのは私の方だ。