第31章 忍び寄る終焉※
「何でぇーーー!!意地悪ぅーー!天元の馬鹿ぁーー!」
「阿呆か!阿呆なのか?!俺はほの花が腕の中にいねぇと安眠できねぇの!」
急に瑠璃の部屋で寝るとか言い出すほの花を見て、瑠璃がほくそ笑む顔が目に浮かんで顔を引き攣らせる。
これは何としても阻止しなければならない案件だ。
「で、でも…瑠璃さんとはもうなかなか会えないかもしれない、し…。」
「どうせまたすぐ遊びにくるって…!な?俺、お前がいねぇと寝れねぇし、それだと任務に支障が出て怪我して帰ってくるかもしれねぇぞ?最悪死ぬかも。」
「…っ?!そ、それは…、困る…。わ、わかった…。やめとく…。」
漸く諦めてくれたようで、心の中で拳を突き上げる。多少…いや、だいぶ脚色したけど、俺の夜の楽しみを瑠璃に奪われるなんて御免だ。
それでなくとも瑠璃がいれば、俺を放置して女子話に華を咲かせていると言うのに。
だが、それは許す。
そのかわり夜は絶対に譲らない。
そろそろ月のモノも終わる頃というのに押し倒せないなんて派手に不満がたまる。
「瑠璃さん、これからどうするのかな…。ちょっと聞いてくる!」
「は?お、おい…!!」
ほらな、こうやって俺がいるのに俺を放置して瑠璃のところに行っちまうほの花。
せっかく蝶屋敷から帰ってきて次は俺の番だな?!と意気込んでいたというのに、あっという間に瑠璃に持っていかれた。
ため息を吐いてほの花が出て行った襖に目をやるが、隣の部屋からは楽しそうな声が聴こえてくるので暫く帰ってこないだろう。
瑠璃が男だったなら遠慮なく奪い返しに行くが、女相手に目くじらを立てて怒っているなんて他の奴に知れたら馬鹿にされるに違いない。
しかし、こちらとしては愛おしくてたまらない自分の恋人が女に取られたなんて屈辱極まりない。
一人だとやけに広く感じる部屋に横になると、仕方なくたまには昼寝でもするかと目を閉じかけた瞬間、不死川の鎹鴉『爽籟』が入ってきた。
「音柱ーーーッ!!任務相談ニツキーーッ!風柱邸ニ来イーーー!」
「任務相談…?」
突然の爽籟の来訪に驚いたが、手元にほの花がいない今、暇を持て余していたのは間違いないので、促されるがまま不死川の屋敷に向かった。