第31章 忍び寄る終焉※
「お前もやりたいとか言い出すなよ?」
「言わないよ〜。私は私のできることをやります〜!」
どうやらちゃんと分かっているらしいほの花はニコニコと笑いながらそう言ってくれるのでホッとした。
しかし、折角ニコニコと笑っていたというのに急にしゅん…と目線を下げたほの花に眉間に皺を寄せる。
「?どうした…?」
そう問えば、目線を上げることなくポツリと話し出したほの花だが、今にも泣きそうなほどで心配になる。
「…瑠璃さん、今週中には出て行くって…朝言ってた…。」
「あー……、まぁ、元々こんな長居するつもりじゃなかったんだろ?」
別に瑠璃一人増えたところで大したことはない。
ほの花とも良好な関係を築いている今、わざわざ出て行く必要はないとは思う…が、アイツにはアイツの考えがあって、自らそう決めて言ってきたのであればこちらが言うことは何もない。
散々、たかられて、此処で生活する分には十分すぎるほどの世話はしたつもりだ。
御役御免ということならば、晴々しい気持ちだが、どうやらほの花は違うらしい。
俺に言ってきたと言うことは「止めてほしい」というほの花なりの意思表示。
確かにいつの間にかほの花と瑠璃は姉妹のように仲良くなっていて、その仲の良さはあの三人が嫉妬するほど。
そのせいで何度俺が窘めたと思っているのだ。迷惑な話だ。
「…天元は、寂しくないの?」
「いや?俺にはほの花がいるしよ。まぁ、静かになるなとは思うけど。」
「わ、、私も…天元はいるけど…、瑠璃さんってお姉さんみたいで…一緒にいると楽しかった…。」
まぁ、同性にしか分からないこともあるのは分かる。だが、それにしても落ち込みすぎだろ。
さっきまで竈門達の全集中常中のことで頭がいっぱいだったようだが、家に帰ってきたことで急に思い出してしまったのだろう。
「死ぬわけじゃねぇんだし、またふらーっと遊びに来るだろ?」
「瑠璃さんもそう言ってたけど…、寂しいなぁ…。」
「じゃあ今日は俺が一日…」
「帰るまで夜は瑠璃さんと一緒に寝ても良い?!」
「何故そうなる?!?!駄目に決まってんだろ!?」
油断も隙もない。
突然突拍子もないことを言うのはほの花の専売特許だ。