第31章 忍び寄る終焉※
ほの花は暇さえあれば竈門達の回復機能訓練って言うのに行っていたが、その度に独占欲をかますのも大人げないので、できるだけ快く送り出すことにするようになった。
「ねぇねぇ…!!天元って全集中常中ってやつできるの?!」
帰ってきたほの花が興奮気味にそう聞いてきたので目を見開いた。彼女は陰陽師の家系な故、呼吸を使うことはできない。詳しいことは分からないが、陰陽道を使うため余力が無いらしくて呼吸を使えば陰陽師の能力は消え、寿命を削ることになるらしい。
最初にそのことを聞いていたので、俺はほの花に呼吸を教えるつもりはさらさらなかったし、今後も教えることはない。
しかし、同期達が呼吸を極めていく姿を見て、毎日何かしら俺に聞いてくるようになった。
もちろん「自分もやりたい!」とは言わない。
そこは自分の役目を十分に理解しているのだろう。
「全集中常中?そりゃ、基本中の基本の呼吸だぞ?出来るに決まってんだろ?俺は音柱様だぞ?」
「やっぱりそうなんだぁ!すごいねぇ!さすが天元…!やっぱり強いんだなぁ〜!」
感嘆の声を上げるほの花だが、今まで此処まで俺のことを強いと思っていなかったのは、呼吸のことを理解できてなかったし、理解する必要もなかったからだろう。
竈門達との回復機能訓練を見て、呼吸と言うのがどういうものか理解してきた今、初めて俺の凄さが分かったようだ。
それは…何とも幸運な副産物だ。
ほの花はもとより俺のことを馬鹿にすることはなかったが、呼吸が分からない分、想像するしかない状態。
苦しみながら呼吸を会得していく竈門達を見て、こうやって感嘆の言葉を上てくれているのだ。
「当たり前だろ?!音柱様を舐めんなよ?」
「舐めてたわけじゃないけどやっぱり凄いんだなぁ!って改めて思ったのー!!天元って凄いなぁ。」
「竈門達ができるようになったのか。全集中常中が。」
「そう!!炭治郎ね、大きい瓢箪を膨らませて破裂させてたの!」
それはなかなか面白い鍛錬だ。
胡蝶が考えそうなことだ。
ほの花にはしたことがない鍛錬の数々にいろんな知識を携えて帰ってくるとこうやって子どものように聞いてくる彼女が可愛かった。