第30章 "初めて"をください※
ほの花を腕に抱いて眠るのはいつものこと。
夏だろうが冬だろうが、腕の中にいるだけで俺自身が安心するからだ。
月のモノの腹痛のせいで夕方前に寝てしまったほの花だが、それから一度も起きずに夜もぶっ通しで寝続けていたので、可哀想なのでそのまま寝かせておいた。
しかし、腕に心地よくかかる重みが無くなったことに気づき、目を開けるとそこにほの花の姿はなかった。
それと同時に寝起きに驚くほどの快感ともっこりと膨らんだ布団に目が飛び出そうなほどの衝撃を受けた。
そこにいるのは恐らくほの花で、まさかとは思うが口淫してる?
は?寝込み襲われた?
ほの花に?
あの意味のわからないくらい恥ずかしがり屋のほの花に?
いや、朝っぱらから口淫されるのは嬉しい。
布団の中で繰り広げられていることを想像するだけで興奮してたまらない。
一生懸命に舐める姿がたまらなく好きだから本当は見たい。
だけど、起きたことに気がついてしまったらもうしてくれないかもしれない。
俺が寝ていたからやり始めたのだろうし、きっと起きてたらやってくれなかった。
ほの花のことだから起きる前に全て終わらせてしまおうと思ってる気さえする。
どういう経緯で口淫しようと思ったのかはわからないが、何をされているのか分からない高揚感は計り知れない。
いつもの口淫よりも気持ちいいと感じてしまうのはほの花の思いがけない口淫のせいか、朝っぱらで尚且つ昨日抜いていないからか。
寝たふりをするのもなかなか骨が折れるが、気づかれないように声を押し殺しながらも漏れる息が部屋の中に溶けていく。
しかし、咥えていたと思ったのに突然肉棒を細やかな刺激が襲ったことで体がピクリと跳ねてしまった。
(…やべ…。)
気持ち良くて体が動いてしまったが、そうしてしまったら逆に動きを止めてしまうほの花。
こちらの様子を窺っているのか一向に口淫してくれない彼女に昂った情欲は膨れ上がる一方だ。
もっと触ってくれ。
もっと舐めてくれよ。
そう願っていてもこちらの気持ちは露知らず。
俺の肉棒を握ったまま固まって動く気配がないので俺は我慢できなくなって布団を捲ってやった。