第6章 君思ふ、それは必然
私は言われた通り正宗たちに声をかけるとぞろぞろと四人でお遣いに向かった。
宇髄さん直筆の紙を手の中に大事に握りしめると無意識に口角が上がってしまう。それを隠すように軽口を叩いてみる。
「別に一人で行けるのに宇髄さんが連れて行けって言うんだよー?」
「まぁ、良いじゃないですか。宇髄様も可愛い継子に何かあったらと思うと心配だったんですよ。」
「うーん…。そうなのかなぁ。」
そう言うけども、今となっては私の方が正宗たちより強くなってる感はあるし、何かあった時に助けるのは私のような気がする。
だとしてもこうやって四人で歩くのもそう何回もあることではないかもしれない。
「…私さ、清貴さんのとこにお嫁に行った方がいいかな?」
私が彼のところに嫁いだならば…。
もちろん好いている人ではないが、私が嫁に行く機会はもう二度とないのかもしれないと考えると絶好の機会なのかも。
「…はい?い、いや…え、彼を好いていらっしゃるのですか?」
「え?別に好きじゃないけど?」
「はぁ?!そ、そんな好いてない人と一緒になるって…そ、それでいいんですか?!」
「何そんな慌ててるの、隆元。そもそも私お嫁に行くあてないし…。私で良いって言ってくれるなら貰ってもらった方がいいかなぁって。」
好きじゃないと嫁いだら駄目なんてことはない。家同士の都合でお見合いをすることだってあるのだから何もおかしなことはない。
「…ほの花様にはもっと相応しい方がいらっしゃいます。そう早まらないで下さい。」
「うーん。ありがとう大進。でも、そうやって何年も経ってしまったし、もう来年には二十になるでしょう?」
「鬼殺隊だってなったばかりじゃないですか。途中で投げ出すおつもりですか?」
「….それは…。」
大進の言葉は最もだ。
私は逃げようとしていた。大好きでたまらない人の幸せな姿を見るのがつらいからって。
大好きな人の幸せを祈れない最低な女はどこに嫁いだとてうまくいくわけがない。
あまりに愚かな考えに恥ずかしくなって何も言い返せず、無言のまま私たちは宇髄さんに頼まれたお遣いのお店に向かった。