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陽だまりの先へ【鬼滅の刃/音夢💎】R指定有

第30章 "初めて"をください※





「実戦で怪我するのとどっちがいいのー?鍛錬中の怪我なんて仕方ないでしょ?」


「な、っ?!お前の白くて艶かしい肌に傷が残ったらって考えると俺は悲鳴をあげるぞ?!」


ほの花は品があって、女性らしくて控えめな性格……だと思っていたが、戦いにおいてはこちらが心配になる程勇ましいというか…男らしい。
"傷なんて男の勲章だ"と言うのはよく聞くが、コイツは女で、嫁入り前だ。
しかも、傷ひとつない綺麗な肌が傷だらけになるなんて考えただけで発狂しそうだ。


「え…、宇髄さんは私に傷が残ったらお嫁さんにしてくれないってこと…?」


鼻息荒め、語気も荒め、視線もキツめにほの花を諌めていたら突然、シュンと目線を下げた彼女に目を見開いた。

傷が残ったら嫁にしない?
……ンなわけあるかぁああっ!!



「ふっざけんなよ?!俺をそんな人でなしだと思ってたのか?!傷があろうがなかろうがお前を嫁にするのは決定事項だっつーの!!ふざけたこと言ってんなよ?!」


「それなら別にいいじゃん。怪我しても。何でそんなに傷がつくことを嫌がってるのかよく分かんない。」


「…………自分が付けるのは嫌だろ。しかも自分の女によ。」


「私がいいって言ってるのに?意味わかんない。」


本当に意味がわからないと言った顔でキョトンとしているほの花に溜息を吐くと、お重に残ってた鰻をかっ喰らう。
それに倣うようにほの花も食べ始めるが、すっかり冷えてしまったそれは美味しさ半減だ。

それなのに、美味しそうにふわりと笑うコイツを見ると小さな幸せを今は噛み締めることの大切さを身に染みるように感じる。


「…美味いか?」


「え?うん!美味しいよ?此処の鰻美味しいよねっ!!」


「やっぱりお前には一生勝てる気しねぇわ。」


「???宇髄さんは一体さっきから何の話をしてるの?」


「別に分からなくていいわ。俺がお前のこと死ぬほど愛してるってことだけ分かってれば。」


俺の言葉を聞くとすぐにコクンと頷き、再び箸を動かすほの花。
別に分からなくていい。
俺が一生ほの花沼に嵌ってド派手に往生するってだけだ。

そんな幸せな甘ったるい沼ならこっちから入ってやらぁ。


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