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陽だまりの先へ【鬼滅の刃/音夢💎】R指定有

第30章 "初めて"をください※




「『私は音柱様の婚約者です。』って言ってみろ。おら。」


「ワタシハオトバシラサマノコンヤクシャデス…」


「気が入ってねぇ!」


「わ、私は音柱様の婚約者です!!」



鏡台の目の前で後ろから顎を鷲つかみにされて練習させられるのはいつ使うのかもわからない文言。
いつ、誰に、どんな状況でそれを言えばいいのか教えてほしいが、そんなこと聞こうものなら「いつでもに決まってるだろ!」と怒られるに決まっている。


善逸が言ったことなんてほんとお遊びだ。
私のことを本気で好きなわけではないし、"女の子に賛辞を言わないといけない病"にかかっているような子だ。

余計なことを言わなければ良かったと言うか…何で気付くのこの人?!洞察力凄すぎない??もうわけがわからない。
いつどうやって気づいたのか教えてほしいくらい宇髄さんに隠し事はできない。


「よーし。ちゃんと言えよ?分かったな?ほの花。だが、言い寄られて困ったらすぐに言え。派手にぶん殴ってやっから。」


それならば、今の言葉の復唱は一体いつ使うのだ。いや、もう言うのはやめておこう。
宇髄さんからしたら当たり前のことが私にとって当たり前でないだけの話。


「…分かったけど言い寄られたんじゃない、よ…。ほんと。病気なんだよ、彼は。」


「は?何の?」


「"女の子に…賛辞を言わないといけない病"……?」


「お前、ふざけてんの…?よし、布団行くぞ…。」


私が冗談を言っているようにしか見えないのか米神をピクピクと引き攣らせながら腰を引き寄せてきた宇髄さんにビクビクと肩を震わせた。
こう言う時は助けを求めるに限るのだ。
私は大きく息を吸い込むと隣の部屋に向かって大きな声を上げた。



「わぁあああっ!ま、まって、まってぇえ!あ、る、瑠璃さぁーーーん!助けてくださぁーーい!!」


「テメェえええっ!!ふざけんなぁあああっ!だぁれに助け求めてんだぁあああっ!」



しかし、私の声が聴こえたのだろう。
その数秒後にバタバタと言う足音が鳴り響き、襖がバタンっと開かれると満面の笑みをしながらも目が笑っていない瑠璃さんがいた。


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