第30章 "初めて"をください※
「はぁ?!口説かれてるだろ、それ。アイツか?!竈門炭治郎か?!」
「ち、違うって…!誰とは言えないけど…、ほんとに冗談だから…!面白い子なの。」
「ふざけんなって冗談でも、ンなこと言う奴、めちゃくちゃ変な奴だろ?!」
冗談でも自分の女に"結婚してくれ"だなんて言う男は碌でもない男だ。つーか、餓鬼の仲間なら直接出向いて牽制してやろうか?
しかし、今日は伊黒と任務の件で打合せをする約束があるし、急遽予定を変更したらネチネチネチネチネチネチと言われるに決まっている。
それも面倒なので、やはり行かねばならないだろう。
「ほ、本当に大丈夫だよ!その後、しのぶさんが私が音柱の恋人だってみんなの前で言ってくれたからもうきっともう言ってこないよ!」
「つーか、そんなもん自分で言え!"私は音柱宇髄天元様の恋人です"って!何で胡蝶が言ってんだよ!?どうせまたアレだろ?体裁気にしてたんだろうが!」
「な、いや…そうじゃないけど…これ見よがしに天元の恋人だって言うのは角が立つじゃない?」
「事実なんだから其処を丸める必要もねぇだろ?!」
角が立とうが、座ろうがそんなことはどうでもいい。問題はほの花が俺の女だと言うことを自分ではっきり言うってことが重要なのだ。
「ごめんって〜!次からはすぐ言うよぉ…!」
「お前は誰の女なのか今からもう一回体に教え込ませてやろうか…?」
「ちょ、ちょっと待って…?腰も痛いし、お股もヒリヒリするんだよ…?せめて夜まで待って…?お願い〜!」
ほの花の悲痛な叫びで何とか思い止まったが、苛つきは募る。
俺の女だと言うことを大っぴらに言うことで特別扱いをされたりするのが嫌なのだろうが、特別な女にのだから気にする必要は全くない。
だけど、いつまで経ってもほの花は俺の女だと言うことに遠慮をするのが気に入らない。
見せびらかしたいという気持ちと俺だけ見えてればいいという気持ちがせめぎ合うが、鬼殺隊の中であれば俺の女だと言うことを全員が分かってねぇと意味がない。
誰に口説かれたのかは知らねぇが、胸ぐら掴み上げて殴ってやりたいところをグッと堪えた俺に感謝して欲しいものだ。