第6章 君思ふ、それは必然
折を見て気持ちを伝えるのと一緒に関係を解消したことを伝えようと思っていたが、そこまで焦っていたわけではなかった。
ほの花は自分の継子だし、周りの男はこの三人に、鬼殺隊の奴らだが俺が溺愛してることが知れ渡っているため、手を出す輩などいないと踏んでいた。
それなのに時期を早めなければならなくなったのは伏兵が意外なところから現れたからだ。
一般人なんて考えもしなかった。
というか完全に失念していた。
だが、よく考えたらほの花が一般人から惚れられることなど簡単に予想ができることだった。
「えぇ…、そ、それはそれで…断られそうじゃないですか?逆に我々だとほの花様は断りやすいですよ。」
「あー、まぁ…そりゃそうか。それなら俺が明日直接頼むからお前ら一緒に行ってくれ。俺は今から準備してくるわ。」
「え、準備?!」
ほの花はきっと俺があの三人と関係を解消したからと言ってすぐに俺との関係を進めようとは思わないだろう。
妙に義理堅いというか、周りが気にしていないようなことも気にしていたりするし、今回の件だって俺に言おうと思えば言えたのに言わなかったのはあの三人に遠慮していたからのような気がした。
だが、俺はもう遠慮はしないと言った。
ほの花がどれだけ気を遣おうが俺は遣わねぇ。アイツへの想いは気を遣わないといけねぇような後ろめたいものじゃない。
正宗の部屋を後にすると、雛鶴たちに「出かけてくる」と声をかけて町に向かった。
先ほどまでアレほど怒り狂っていたと言うのに今の俺は浮き立っている。
情緒不安定か、と思われるかもしれないが、ほの花のことを考えるだけで簡単に感情が先走る。
それほど俺は''心を奪われた"状態ということだ。