第6章 君思ふ、それは必然
真田清貴
年齢は知らないとのこと。
隣町に住んでいて、明日またほの花に会いに来ると言っていたらしい。
体型は中肉中背でほの花の縦寸より小さい。
顔は切長の瞳に泣き黒子がある。
今は分からないが、縁談があった当初は呉服屋を営んでいたとのこと。
「もっと情報ねぇのか。はっきりした住所とか…。」
「宇髄様…お言葉を返すようですが、我々だって昨日久しぶりにお顔を見ただけですし、護衛風情がほの花様の縁談の詳しい内容まで知るわけないでしょう。」
「あん?喧嘩売ってんのか?隆元、てめぇ。」
「宇髄様に喧嘩売ってなどいませんが、誤解しないで頂きたいのは我々だってほの花様のことを傷つけられて腹が立たないわけないじゃないですか!」
いつもは冷静且つ穏やかな三人。その中でも一番義理人情に厚い隆元なら余計に腹が立つだろう。妹みたいに可愛がっているほの花を傷つけられたのだ。
「……あー、まぁ…悪かった。そうだな。腹立つわな。」
「……宇髄様って謝れるんですね…。」
「あぁ?!やっぱり喧嘩売ってんだろ!」
「す、すみません!今のは完全に余計な一言でした。申し訳ありませんでした。」
「ったく…。」
だが、ここで争っていたとしても何の実りもないことだ。よくよく考えてみるとその男だって町でたまたま会ったのだとしたら、ほの花と会うためにはまた同じ場所で待つくらいしかできないはずだ。
「明日、お前らほの花を連れて町へ行けよ。俺が買い物頼んだっつーことにして。」
「ええ?!それなら宇髄様が一緒に行けば手っ取り早いのでは…?」
「そうしてぇのは山々だが、アイツ俺と二人で出かけたがらねぇもん。まだ元嫁達のこと言えてねぇからな。」
関係を解消したことをいつ言おうかずっと迷っていた。先に言っちまったらそれはそれで胡蝶が言っていたみたいに自分のせいで…と気に病む可能性があった。