第30章 "初めて"をください※
──すげぇ気に入った。ありがとな。
それを聞いた途端、肩の力が抜けて抱きしめてくれてる宇髄さんの腕にしがみ付いた。
「…はぁ…よかったぁ…。緊張して手汗がヤバいよ…。」
「何で緊張すんのか意味わかんねぇわ。俺が喜ばねぇ男だと思ってんのか?心外だな、おい。」
「ちっがーーーう!そうじゃなくて、私…本当に興味ないじゃん…?お洒落とかそういうのに…。だからちゃんと気に入ってもらえるか不安だったの!」
やたらと体に装飾つけてる宇髄さんを毎日見てると自分がとても地味だと言うことは分かっていた。でも、自分には宇髄さんがくれた花飾りと耳飾りがあれば十分で、それすら昔の自分からしたら凄くお洒落してます!と言うつもりだった。
まぁ、宇髄さんからしたら地味だとは思うけども。
「俺はそれよりあの餓鬼に俺より先に贈り物渡したのかと思って死ぬほど苛ついたんだぞ?!瑠璃の野郎…!派手にぶん殴ってやる!!」
「女の子はなーぐーりーまーせーんーー。」
「…‥よし。お前が代わりに殴ってこい。」
「女の子はなーぐーりーまーせーんーー。」
「派手に不満しかねぇな!!!」
何と言われようと私は女の子は殴らないし、殴れない。しかも、宇髄さんが女の子殴ったら死んじゃうよ。この人自分の腕力舐めてるよ、絶対。
不満げな宇髄さんの主張を取り合わないでいると、諦めたのかゆっくりと体を離した。
てっきり顔も不満げだと思いきや、彼の顔はにこやかに笑っていて、私も釣られて笑顔を返す。
「なぁ、着てみていいよな?つーか、着る!」
「は、ぅ、わわっ!ま、まっ…!」
そう言うと急に帯を外して着ていた着物を脱ぎだしたので慌てて後ろを向いた。
いくら何度も情交をしていたとしても、温泉も一緒に入っていようとも、裸を見るのも見られるのも恥ずかしさがある。
それなのに堂々と脱げる宇髄さんの羞恥心のなさは若干羨ましい。
「お前なぁ?俺の肉棒何回も咥えたことあるくせに着替えくらいでよく恥ずかしがれるな。」
「んなっ、ちょ、っ!い、、言い方が卑猥!!!」
「もっと〜!とか言う時もあるくせに。」
「言わないでぇえええっ!!!」
後ろを向いたまましゃがみ込むと膝に顔を埋めて耳を塞いで、羞恥心にひたすら耐えた。
そうでなければ恥ずかしくて死ぬところだった。