第6章 君思ふ、それは必然
「お、落ち着いてください!宇髄様!」
「ほの花様に聞こえてしまいます!」
「今はどうか、どうか御収めください…!」
三人がかりで体を抑えられているが、本気を出せばコイツらを振り払うことなど簡単だ。
だが、怒りに身を任せれば恐らく俺はその男を殺してしまうだろう。
鬼殺隊の"柱"をしてると言うことは一般人などまるで小さな虫を相手にしているようなものだ。
鬼狩りをするために一般人を守ることはすれど、万が一その男が鬼に襲われても絶対助けねぇ。
一回死ね。何なら一回鬼にされて、もう一回俺に殺されろ。そして地獄へ堕ちろ。
それほど罪深いことをしていると自覚しろ。
「…あー、わかった。わかったから放せ。まずはソイツの名前と住んでるところを今すぐ吐け。」
「全然わかってませんよね?!」
「聞いてどうするつもりですか?」
「お願いですからとりあえず座ってください。」
もちろんこの三人を振り切って殴りに行こうと思ってた計画は簡単に頓挫せざるを得ない。舌打ちをすると、再び座卓の前で胡座をかくと三人がほっとしたような表情をした。
まぁ、半分以上は本気だったが、人間殺したらお館様にも迷惑がかかるかもしれないからな。
「あー…苛々する。ぶん殴りてぇな。」
「宇髄様が殴ったら死んでしまいます。」
「そら、そうだろうな。知ったこっちゃねぇよ。ほの花を泣かせたのが悪ぃ。」
座卓に肩肘をつくともう片方の手でトントンと膝を突いて何とか溜まった鬱憤を発散させようとするが、そんなことでスッキリするならば誰かを恨んだり妬んだりすることなく平和な世界になっていたことだろう。
「……今から言うことは独り言ですから、どうするかは宇髄様が決めてください。だけど約束してください。」
「何を。」
「暴力は禁止です。」
俺が命令されて動くのはお館様くらいだ。
だけど、追加しても良いのかもしれない。
ほの花に関しての事案は問答無用でほの花にとって一番良い方法で事を進めてやる。
惚れた女は自分で守ってこそ男ってもんだろ?