第30章 "初めて"をください※
機能回復訓練とやらはどんなものなのか?
全く分からないのだが、兎に角、炭治郎も伊之助もボロボロになって帰ってくるのだ。
一体どんな惨い訓練なのだろうか。
ほの花が薬箱を片づけた頃に今日もふらふらになって帰ってきたかと思うと、「あ、ほの花。いらっしゃい…」とだけ言って布団に潜り込んだ炭治郎。
「…機能訓練大変そうだね。」
「う、うん…。ねぇ、炭治郎。何があったの?教えてくれよ!」
「……ごめん。」
「「………。」」
炭治郎のボロボロ加減にほの花と顔を見合わせるが、こちとら怖くて仕方ない。
明日からそれに参加するのだ。一体どんな惨い訓練なのだ。
「…善逸は明日からなんだよね?頑張ってね。か、甘味楽しみだねっ!!」
中途半端に甘味をダシにして場を盛り上げようとしてくれるほの花だけど、甘味はどうせ二人きりじゃないし、今は機能訓練のことで頭がいっぱいだ。
「どうしようどうしよう…怖いよぉぉおおお!!!」
「大丈夫大丈夫!善逸なら出来るよ!頑張って?」
女神のような笑顔に一瞬、天国に召されそうになったが、逃れられない明日のそれにすぐに現実に引き戻されてしまう。
「…ほの花も音柱にすごいツラい鍛錬受けてるの?」
あ、でも、しのぶさんが音柱はほの花を溺愛してるって言ってたからそんなことないのか?
しかし、質問をした途端に苦笑いを浮かべた彼女に少しだけ目を見開いた。
「あはは…。最近はあんまり稽古つけてくれないけど、最初は鬼かと思った…。鬼に殺される前に殺されるかと思ったよ…。」
ぇええええええっ…。
むご、惨すぎる…。
好きな女にそんな酷いことできるのかよ?!音柱って本当はめちゃくちゃな輩なんじゃ…?!
「あ、でも…!そのおかげで戦えるようになったし、宇髄さんには感謝しかないよ!だから善逸も頑張ってね?」
「……うん…。ガンバルヨ…。」
「怪我したら手当するからね!」
ちょっと待って?!怪我するような訓練なの?!音柱の鍛錬と機能訓練ではわけが違うと思うが、怖くてたまらない俺はほの花にひたすら泣き言を言い続けた。