第30章 "初めて"をください※
陽射しが降り注ぐ窓辺のベッドに大人しく寝ているのは治療の一環。
今、俺は手足がすごく短い。
蜘蛛にされかけたから。
ほの花が飲みやすくしてくれだけど、正直まだ不味い薬をたくさん飲んで、たくさん陽の光を浴びれば後遺症は残らないそうだ。
完全に蜘蛛にされていたら後遺症が残ったらしい。もしそうなったら悲しい。
それはそうとしのぶさんの音も独特だ。規則性のない感じでちょっと怖い。
ほの花も不思議な音がしたけど、それとは違う。ほの花はどちらかといえば浮世離れしていると言うか…、ふわふわと空に浮かぶ雲のような…何とも形容し難いのだが、お日様のように暖かくて優しい綺麗な音。
そうだ、ほの花の音はとても居心地が良いんだ。
初対面でもその懐に入っていっても受け止めてくれる安心感のようなものがあった。
雷のように一瞬で恋に落ちたのにものの数日で地獄の果てに突き落とされた。
音柱の婚約者だって?!
何だよ何だよ!!どうせ柱がどんなもんだって言うんだよ!!
俺のほの花を手篭めにしただけでも罪深いって言うのにィィィ!!
だが、相手は柱だ。正攻法でいっても勝ち目はない。寝込み襲ってほの花を取り返すしかない…!と夜な夜な作戦を画策していたと言うのに炭治郎が物凄く変な顔をして「善逸、もう諦めろよ。勝ち目はないって。」って言うんだ!!
ふっざけんなよなぁああああっ?!
ほの花と折角良い感じだと思ってたのに!(自分だけ)
数日で奪われた俺の気持ちになれよなァアアアアア?!
だけど、ほの花はそんな俺の気持ちを知っても尚、毎日薬の微調整のために来てくれる。
優しすぎないかぁあああっ?!
大体、しのぶさんもだけど顔が可愛すぎるんだよ!!何なの?!鬼殺隊って!?
顔面接でもあるわけ?!
禰󠄀豆子ちゃんも可愛いしーーーー!!
可愛いの渋滞が起こってて、眼福通り越して天国に召されそうだ。
わかるよ、わかる。
音柱ってやつがほの花に落ちた気持ちはわかる。
でもさ、でもさ…、あんな可愛いほの花を毎日毎日毎日毎日毎日見られるなんて狡くない?!
狡いよな?!
ふざけんなよなァアアアアアッ!?
職権濫用だろうがァアアアアアッ!!!