第29章 停戦協定※
ほの花は天元しか知らないと言う。
生娘だった頃より天元にだけに身を捧げてきた彼女からすると天元の抱き方が全て。
だけど、本来あんな風にいつでもどこでも盛ってヤるようなものではない。
天元はほの花が自分だけしか知らないのを良いことに、己の性欲を押し付けているにすぎない。
もちろん其処に愛はあるが。
だから、自重せずに自分の思うときにほの花を抱く天元は本当に自分勝手だと思う。
つい先日まで大嫌いだった女なのに、知れば知るほど放っておけない性質の女だと分かると、ほの花に構いたくなる。
多少なり天元の気持ちも分からなくもない。
「天元とシたくない日はちゃんと断ればいいのよ?無理しなくてもいいんだから。」
「え?あの、し、シたくない日って…生理の時はちゃんと断ってますよ!」
「当たり前でしょうが。それ以外にシたくない日があればってことに決まってるでしょ。」
今の発言から察するにこの子が生理じゃなければ、あの男は毎日のように盛ってるんじゃなかろうか。
もちろん仕事とか言っていない日も多いので出来ないのことも多いと思うが。
自分が知ってる天元はそこまで絶倫な記憶はない。
一般的な性欲はあると思っていたが、そこまで毎日盛っていたことはないからだ。
まぁ、三人の嫁と関係を解消するくらい溺愛しているのだから、余程ご執心だとは思うけど。
「んー…シたくない日って言うのはまだ無いんですけど、何回も続けてされると体力持たないですよね…?」
「は?アイツ、一回でそんな何回もすんの?!性欲ありすぎでしょ。」
私の時は一回シたらそれで終わりだったからそんな経験はない。
私が"天元の初めての女"だと知った時のほの花の顔は物凄く悲しそうだった。
でも、そんな悲しまなくても全く問題ないじゃ無いか。
気づいていないかもしれないけど、アイツはほの花に初めてをたくさん贈ってる。
初めて一回で何度も抱きたいと思った女で
初めて毎日でも抱きたいと思った女で
初めて心を奪われた女なんでしょ?
気づいてもいないほの花に笑いが込み上げるけど、こんなこと他人から言われて気づくものでも無い。
野暮なことを言うのはやめておこう。