第29章 停戦協定※
「はぁ…。」
宇髄さんに浴衣を渡そうと思っていたのに、昨日まさかの高利貸しだった人との再会により完全に出鼻を挫かれたのは言うまでもなく…。
帰ってきたら帰ってきたでちょっとだけ機嫌が悪かった宇髄さんから私を守るために瑠璃さんが部屋で匿ってくれた。
しかし、任務の呼び出しで虹丸くんが来たことで慌てて部屋に向かうと、不機嫌そうな彼に口付けをされた。
「瑠璃のせいでぶちこめなかったから帰ってきたら覚悟しとけよ!」と血走った目で言われて、顔を引き攣らせながら見送ったのだ。
しかし、時刻はまだ夕方にもなっていない時間帯で、そんな時間からの呼び出しと言うことは遠方なのだろう。
また数日会えないのだと思うと、昼間っからぶち込まれたとしても浴衣を渡しておけば良かったと思った。
「…はぁ…。」
縁側で何度目かのため息を吐いたところで、隣の部屋の襖がパシンと開いた。
勢いよく開かれた其処から出てきたのは先ほどまで匿ってくらていた瑠璃さんで、ため息を吐きながら膝を抱えている私を見ると口角を上げて隣に座った。
「何ため息吐いてんのよ。良かったじゃない。昼間っから抱かれなくて。アイツの馬鹿デカイから何回も続けてやると裂けるわよ。」
「な、っ、な、な、っ!?」
「そりゃ、知ってるわよ。アイツの筆おろししたの私だって言ったじゃない。最初裂けるかと思ったわよ。」
確かにそれは前に聞いたから知ってるけど、あからさまにそんな話をしてくるとは思ってもいなかったので口をパクパクと開け広げて狼狽えることしかできない。
元奥様達とそんなあからさまな猥談をしたことがなかったし、されたとしても反応に困るだけだ。
その点、瑠璃さんとは始まりが最悪だった分、こう言う話を明け透けに話されても幾分気持ちが楽だ。
彼女から話してくれるのも有り難い。
「…ヒリヒリしますよね。」
「まぁね。三回くらいで慣れたけど。」
「な、慣れませんよぉ!!毎回大根が挿入されると思って覚悟を決めているんですから!!」
「…大根って…。やめなさいよ。今日の夕飯に大根の煮物出たら食べる気失せるじゃないのよ!!」
そうは言っても私の中で彼のイチモツは大根としか言いようがないのだ。