第29章 停戦協定※
「で?お前らはほの花とどういう関係なわけよ。」
「はい!俺らは姐さんに目を覚まさせてもらったんす!!あの時の姐さんの勇ましさは忘れもしません!一生ついていくと心に決めました!旦那!!姐さんのことはお任せください!」
「だーかーらー!!どういう経緯でそうなったか聞いてんだわ!」
「う、宇髄さん!私が!私から話す!ちょっと!貴方達は黙ってて?ね?!」
「はい!姐さん!」
荒ぶる宇髄さんを宥めて、小声でことの経緯を説明してするとどんどん皺がよる眉間に恐れ慄いているのは私だけだろうか。
どうかその時のことは忘れていてほしいと願っていたが、この様子では覚えているのだろう。
「ああ…あの時の、なぁ?」とニヤァと笑った顔は目が笑ってない。
ゆっくりと座り直して、三人に向き合うと宇髄さんは口を開いた。
「ほの花から話は聞いてたけどよ、俺は自分の女に手を出したことに腹を立ててたわけ。そこはどう責任取るつもりだ?あ?」
「無論!旦那がそう言うのであれば、此処で何発でも殴ってもらって構いません!その時のことを言い訳するつもりは毛頭ありません故!」
「ちょ、う、宇髄さん…!?過ぎたことだから、ね?」
殴りかかってきたのは間違いないが、ほとんど無傷だったわけで、どちらかといえば弱かったからわざと殴られてしまった私に非がある。
「…よぉし、歯ァ、食いしばれ…と言いてぇところだけどよ。お前らを殴るとコイツに後から責められるからやめとくわ。」
「何と慈悲深いお方だ!!尊敬に値する!旦那!姐さん!!一生お二人についていきます!!」
こうなってしまえばただ宇髄さんの男気に感動して、更に主君が増えたような状態に頭を抱えるのは私たちの方だ。
苦笑いを浮かべて顔を見合わせると、頭を下げている彼らに顔を上げさせた。
「まぁ、お前らも知ってると思うけどよ、コイツ美人だろ?」
「な、は、?何言ってるの?!」
「いいからお前は黙ってろ。」
しーっと指を唇に当てて口を挟むなと言ってくる宇髄さんに仕方なく大人しく隣に座っているが、一体何を話そうとしているのだろうか。
分からないままそれを見ているしかできないなんてむず痒いことこの上ない。