第6章 君思ふ、それは必然
正宗たちが顔を見合わせ頷くと「とりあえず立ち話もなんですし…」と座るように促されるので仕方なく座卓の前に座り込む。
「…で?」
「昨日、ほの花様と縁談の話があった方にお会いしました。」
「………はぁ?!縁談?!」
ちょっと待て。
男に免疫ないって話はどうした?てっきりほの花は男とそう言う関係になったことのない生娘だと思い込んでいたので、どこの誰か知らない野郎がほの花を手籠にしていたかもしれないと考えるだけでハラワタが煮え繰り返りそうだ。
しかしながらあの容姿だ。
町を歩けば誰しもが振り返るほど美しいほの花を連れて歩くのは鼻が高いが、それよりもほの花を視界に入れられることさえ最近では拳を握りしめてしまう俺は最早病気だ。
「ちょ、お、落ち着いてください!縁談があったってだけで…その、お話は進まなかったんです。」
物凄い形相で睨んでいたのだろう。
顔を引き攣らせて三人がかりで落ち着くように宥められるがそんな話題は穏やかには話を進めるのは不可能だ。
「…進まなかった?」
「その…ほの花様は少し他の女性より背丈がありますよね?」
「それがどうした?」
確かにほの花はすらっとした縦寸だが、柔らかくて陶器のように白くて美しい肌に女性らしい体つきをしているので縦寸があっても凛とした美しい女という印象以外ない。
それに自分より縦寸がデカいのは同じ柱のあの男くらいしか見たことがないので、正宗の言葉の意味すら分からない。
「宇髄様はご自身が背丈があるので気にならないかもしれないんですが、ほの花様はずっと悩んでいらっしゃって…小さな女性がいいと言う男性は割と多いんですよ。」
「あー、そういうことか。」
それを聞いても大した問題ではないという感情しか湧かない。
ほの花という人間が背丈で分かるわけでもあるまいし、外見の美しさに気を取られがちだが、ほの花は内面も美しい女だからだ。