第6章 君思ふ、それは必然
ここ最近、ほの花が朝の鍛錬後に毎日のように家にいない。
胡蝶のところのカナヲと仲良くなったというのもあり、会いに行くことが増えたのは知っていたが、それ以外でもしれっといない。
どこに行ってるのかは知らないが、アイツへの気持ちを認めて、三人の嫁に謝罪をして関係を解消したことでしがらみが無くなったというのに
肝心のほの花がいない。
顔を見ればそばにいたくて、
近くに置いておきたくて、
止まらない想いを隠すこともしなくなったのでほの花が若干困惑してるのも分かってる。
でも、止まらないのだ。
ほの花が継子になってからというもの男手のいる買い物すら正宗たちが行ってくれていたため、あの三人に付き合うこともなかったが、一度町に繰り出せば何を見ても"ほの花に似合いそうなもの"を無意識に探してしまう。
突然の贈り物などもっと困惑するだろうか。とあーでもないこーでもないと脳内会議をすると一旦は諦めるのだが、またすぐにほの花のことを考えてしまって堂々巡りだった。
今日はほの花と縁側でゆっくり茶でも飲んで話でもしたいと思っていた矢先、玄関から聞こえてきた「行ってきまーす。」に慌ててほの花を呼び止めたが玄関はもぬけの殻。
深いため息を吐くと仕方なく自室に戻ろうと踵を返すと、護衛だった三人が苦笑いをしながら立っていた。
「宇髄様。ほの花様に御用でしたか?」
「いや。用っつーわけじゃねぇけどな。話したかっただけだ。帰ってきてからでもいい。」
「承知しました。最近いつもどこに行ってるんですかね?」
「さぁな。それも帰ってから聞いてみるわ。危ねぇことはしてないと思うけどな。」
ほの花が何か俺に内緒で言いにくいことをしているなら雰囲気でわかる。
そうじゃねぇ。
でも、何となく自分絡みではないかという気もしていた。
買い物に行くという三人がほの花から遅れること数分後に出発したのを確認すると自室に戻った。