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陽だまりの先へ【鬼滅の刃/音夢💎】R指定有

第29章 停戦協定※




どうやら今日は天元も休みのようだった。
昼ごろほの花を迎えにきたかと思うと、隣の部屋からは楽しそうな声がずっと聴こえていた。

そこまで筒抜けなわけではないし、こちらも何かしていれば殆ど隣の部屋の音や声は聴こえてこない。

でも、今日に限って私は風邪で寝込んでいて、やることといえば読書や睡眠くらい。
嫌でも隣の物音が耳に入ってきたかと思うと、どうやらおっ始めた様子に眉間に皺を寄せた。

既に天元に未練はないと言っても、他人の性行為の声や音を聴くほど無粋なものはない。
気を利かせて布団をかぶって聴こえないようにしていたのに、早々に部屋から誰かが出ていく音が聴こえたかと思うと、隣の部屋からはほの花の泣き声が聴こえてきた。


「…忙しい奴らね。突然発情したかと思うと今度は喧嘩…?」


痴話喧嘩は犬も食わないのだ。
関わりたくない一心で布団に横たわり眠ってしまおうとしたのに、啜り泣く声が一向に止まなくて隣の部屋との壁を見つめた。

どんな喧嘩をしたかは知らないけど、天元が感情的になって女と喧嘩をしているところなんて見たことなかったので少しばかりの興味が湧いた。

一体どんな内容で喧嘩したのだろうか。
要するにただの野次馬だ。
ほの花が心配とかそういうことではない。

泣き止んでもらわないと気になって寝れないし、一言文句でも言えば気が済んで眠れるかもしれないと思っただけ。

私は体を起こすと、隣の部屋に向かって歩き出した。慰めるためではない。
ただ泣いてる理由を知りたかっただけ。

人の不幸は蜜の味。

静かに隣の部屋の襖を開けるとほの花が素っ裸で着物だけ肩にかけている状態で膝を抱えていたので、慌ててそこを閉めると近寄った。

護衛とは言え、こんな姿を他の男に晒したら余計に天元を怒らせる原因になると思ったからだ。


我ながらこんな気を遣ってあげるなんて、何と優しいのだろうか。思わず自画自賛してしまうほど。


目の前に立つと、真っ赤に泣き腫らした目で見上げてくるほの花だが、それよりも首筋から胸元にかけてだけでなく、チラリと見える足や腹部にまで夥しい量の所有印が付いている。

それを見ただけでも、この行為が天元の嫉妬によるものだと安易に考えが行き着いてため息を吐いた。



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