第29章 停戦協定※
宇髄さんが蜜芽を触ってくれたあたりから簡単に快感が訪れた私は痛みよりも気持ちよさに蕩け始めていたと言うのにその行為は突然終わりを告げた。
まだ達していない筈なのに、大きな男根を抜き取られると、秘所にはまるで土竜が掘ったような大穴が開いた。
すーすーと空気が触れる感覚が擽ったい。
どういう状況なのか見当もつかない私は勇気を出して後ろを振り向いてみたのに、視線が絡むことはなかった。
続きをしてくれることもなく、着物を整えると私にも着物をかけてくれて出て行ってしまった。
「頭を冷やしてくる」とだけ言って。
頭を冷やしてくるというのは自分のこの行為を恥じて後悔しているからだろう。
確かに怖かったし、もっと優しく抱かれたいと願っていた。
でも、此処にいて欲しかった。
こんな状況で独りぼっちにされたら悲しくて、寂しくて…涙が出てきてしまう。
宇髄さんが大好き。
こんな抱かれ方しても好きなんだから、何も逃げなくてもいいじゃないか。
頭冷やすなら此処で冷やしてよ。
何なら冷やさなくていいから此処で私を抱きしめてよ。
さっきまでは厠まで付いてくるほどベタベタとくっついていたと言うのに、そばにいて欲しい時にいてくれないなんて悲しすぎる。
「…っ、天元の、ばかぁ…。ひ、っく…!そば、にいてよー!うぅ…。痛いよぉ…、心が…。」
どこに行ってしまったのか分からないけど、近くにいるならこれくらいの声でも聴こえるんじゃないかと思って、わざと声に出してみた。
でも、部屋の中には私の泣き声が響くだけで、宇髄さんの気配は一向に感じられない。
それが益々虚しくて後から後から溢れる涙を止めることもできずに泣き噦った。
ひっく…と嗚咽をしながら足を抱えて泣いていると、急に襖が開かれた。
それが宇髄さんに違いないと思い、喜び全開の顔を向ければそこにいたのは思いがけない人物で固まってしまった。
「…る、り、さん…。」
「はぁ…。あんた達、煩いのよ。ヤるなら静かにヤって、泣くなら静かに泣いてよね。」
呆れたようにこちらを見下ろす彼女の視線は冷たいものだったが、素肌に着物を羽織っただけの私を見て、目の前に屈んでそれを直してくれた。
その優しさに益々涙が溢れてきて、彼女の胸に抱きついてしまった。